最大50%オフ、8月限定の「外食して助けようスキーム」は飲食業界の救いとなるか?

  • 文:宮田華子

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LONDONロンドン

最大50%オフ、8月限定の「外食して助けようスキーム」は飲食業界の救いとなるか?

文:宮田華子

街中さまざまなところで見られる、政府の「EAT OUT」広告。photo: Hanako Miyata

7月4日から、レストラン・カフェ・パブなど外食産業の店内飲食が緩和となったイギリス。長かったロックダウンの後だけに、みな“おっかなびっくり”の様子で、当初は店内で飲食する利用者は少なかった。しかし8月3日から「外食して助けよう(Eat Out to Help Out)スキーム」が始まると、住宅街を中心に飲食店の活気が戻ってきている。

このスキームは8月中の月~水曜日に店内飲食をすると、最大50%(上限10ポンド/1名)割引になるというもの。一人当たり20ポンドまでの飲食は半額になるが、それ以上の場合は10ポンド引きの支払いとなる。店によってはサービス料金が加算され、酒類はディスカウントの対象外だが、登録を行った全英約7万2,000店舗でこのスキームが適用されている。

開始とともに住宅街の飲食店には予約が殺到、ファーストフード系の店には行列ができるようになった。しかしロックダウン以前は人で溢れていたロンドン中心部や金融街は在宅勤務者がいまだ多いため、人影もまばら。周辺ワーカーをターゲットにした飲食店は再開の見通しが立たず、このスキームの恩恵を受けていない。

欧州最大の死者数を生んだイギリスだけに「感染拡大を抑えたい、密を避けたい」という気持ちと「地元レストランを応援したい」という気持ちの両方の気持ちが胸によぎり、人々の心中は大変複雑だ。

どこまで移動や密を控えるべきなのか? どうやったら飲食店の窮地が救えるのか? 市民は迷いながらもスキームを利用し、久々の外食を楽しんでいる。とはいえ賑やかなのは割引が適用となる月~水曜日だけ。木~日曜日は、ほとんどの店がガラガラだ。「それでも月~水に集客でき、家賃が払えるので有難い。9月以降がとても心配だけど」と近所のカフェのオーナーがこぼしていたが、これが多くの店主たちの本音だろう。このスキームをきっかけに、9月以降も飲食業界が活気づくのか? その答えがでるのはもう少し先だ。

夕食の時間前に、店に並ぶ人々。店員がトランシーバー片手に空席状況を確認している。どの店も消毒液の設置やソーシャルディスタンスを保った店内レイアウト、客の携帯番号の登録(感染者追跡システムに使われる)などのルールを守って営業中だ。photo: Hanako Miyata