【実力派ショップを巡る、東京古着案内】Vol.3 人気スタイリストに聞いた、贔屓の店。

  • 写真:高橋えりな
  • 編集&文:帯刀憲一郎

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ヴェルヴェット(下北沢)──“カッコいい”を突き詰めた、力強いアイテム群。

アメリカで買い付けたアンティークの什器が、ショップの雰囲気を盛り上げる。

ファッション雑誌や大手企業の広告、タレントやミュージシャンのスタイリングなどを手がけている壽村太一が薦める店は、元雑誌編集者というオーナーが独学でスタートした、下北沢の「ヴェルヴェット」。経歴が異色なら、そのラインアップも異色だ。バイイングする視点に年代や希少性、性別といった固定概念はない。選りすぐられた服の基準はずばり、“男が着てカッコいい服”。スパンコールが全面にちりばめられたジャケットを筆頭に、ダメージ入りのフーディや総柄シャツなど艶感のあるアイテムはどれも唯一無二の存在感を放っている。壽村も「スタイリングのポイントになるような、強い服が欲しい時に足を運ぶ」と教えてくれた。こと古着選びにおいてはついウンチクを並べてしまいがちだが、その服を自分がカッコいと思うか否か、判断基準はそれだけでいいのかもしれない。

レジャーを楽しむ女性たちの抜け感あるプリントが、実にアメリカらしい総柄シャツ。¥18,480(税込)

ヴェルヴェットの十八番ともいうべきショールカラーのテーラードジャケット。織りで無数のバラが表現された、色気を感じさせる一着だ。¥38,280(税込)

ヴェルヴェット

東京都世田谷区北沢3-26-3 スズランビル 1F
TEL:03-6407-8770
営業時間:13時~21時
不定休
http://velvet.pw

ドージョー(代々木八幡)──日本未発売のレアものを、良心的なプライスで。

場所は元代々木町の商店街沿い。地元民がふらっと訪れる、開放的な店構えが目印。

メンズファッション誌を中心に活躍し、遊び心のあるミックススタイルを得意とするオクトシヒロが選んだ店は、代々木八幡にある「ドージョー」。「すべてがオーナーのフィルターを通してちゃんとセレクトされている」とオクトシヒロは話す。取材時にリーバイスのヴィンテージデニムが吊るされたラックを、オーナーが「たまにコテコテも食べたくなる」とラーメンにたとえて説明してくれたが、他はレギュラー古着からデザイナーズ・アーカイブまで種々さまざま。その中でオクがお薦めしてくれたのは、ザ・ノース・フェイスやニューバランスといったブランドのアメリカ企画ものだ。大きめのサイズといい意味で大雑把なデザインが特徴で、古着との相性も抜群。日本では買えないアイテムに絞りつつ、万が一同じ品が国内で流通していたら絶対に定価以下で販売するというカスタマーファーストな値段設定も魅力だ。

レギュラー古着とはいえ、ここ最近急激な盛り上がりを見せているアメリカ製の企業Tシャツも驚くほど良心的な価格設定となっている。手前から、¥3,850、¥4,950、¥3,080(すべて税込)

MLBのレッドソックスが優勝した際に、ボストンのショップのみで販売されたというニューバランスのレアスニーカー。ヒールには“CHAMPS”の刺繍が入る。¥16,820(税込)

ドージョー

東京都渋谷区元代々木町9-8
TEL:03-6884-2425
営業時間:14時~22時
不定休
http://dojoe-tokyo.tumblr.com

トランポット(学芸大学)──玄人をも唸らせる、オーナー独自のセレクト

23時まで営業しているため、仕事終わりに駆けつけるファッション関係者も多い。

メンズやウイメンズを問わない、オリジナリティあふれるスタイリングを得意とする石井大が挙げてくれたのは、学芸大学にある「トランポット」。頻繁に通う理由を聞いてみると、「他の古着屋なら目もくれないような服からデザイナーズまで、フラットな目線で吟味してバイイングしているから。その姿勢と世界観にシンパシーを感じるんです」と語る。全幅の信頼を寄せる、オーナーの審美眼がそこにはあった。サイズが極端に大きかったり、幾度も洗われることで表情が変わっていたり、よく見ると笑えるプリントだったり。モノとしては一般的でも、ストーリーを伴う個性豊かなアイテムを揃える。年代にも国にもテイストにも縛られない独自のセレクトが、玄人を引きつける理由になっている。商品は毎日入荷するため、足繁くショップを訪れたい。

1990年前後のデザイナーズ・アーカイブも扱う。イタリア生産だった頃のマリテ+フランソワ ジルボーのデニムジャケットは、デコラティブな装飾が特徴。¥30,800(税込)

石井もよく購入するという無地Tシャツ。落ち着いたトーンの美しい色みと、超長綿で織られたことによるなめらかな肌触りが上品な雰囲気を生む。¥5,940~¥7,590(税込)

トランポット

東京都目黒区鷹番3-18-18
TEL:03-5773-4210
営業時間:15時~23時
不定休
http://trampot.theshop.jp

チェリーラヴィル(吉祥寺)──掘り出しものが期待できる、懐かしの古着体験。

低価格だからと侮ることなかれ。定番のラルフ ローレンやエルエルビーンなども充実する。

ファッション誌やカルチャー誌を中心に、俳優やミュージシャンのスタイリングも手がける檜垣健太郎が選んだ店は、吉祥寺にある「チェリーラヴィル」。店主は、今年3月に閉店した老舗「ミント」の元オーナーのひとり。約20年のキャリアを経て行き着いたのは、気軽に買える古着屋だった。檜垣も「よくリサイクルショップで古着を買っているせいもあり、好きなのは安くてちょっと変な掘り出しもの。ワクワクしながら古着を見ていた感覚を思い出させてくれます。マイペースなセレクトと良心的な価格が好きです」と魅力を挙げる。10,000円以上の値付けはなるべくしないポリシーで、おもなプライスレンジは税抜き3,900~5,900円。山積みのTシャツもラックに目一杯詰まったアウターも、多くがその価格帯に収まっているから驚きだ。ピュアな気持ちで、古着を掘る楽しみを味わおう。

アメリカのテキサス州で展開されている燃料ブランド、テキサコのプリントスウェット。スリフトショップで売っていそうな力の抜けた雰囲気がちょうどいい。¥4,070(税込)

90年代にリリースされたジャケットとはいえ、ブランドはエンポリオ アルマーニ。チェリーラヴィルの中では高額な部類に入るが、それでもこの価格は驚き。¥10,780(税込)

チェリーラヴィル

東京都武蔵野市吉祥寺南町1-15-1 オリエントマンション2F
TEL:0422-43-0956
営業時間:12時~20時
不定休 
http://cherryloville.blog.fc2.com

●掲載した商品はいずれも古着のため、完売している場合がございます。
●新型コロナウイルス感染防止など諸事情により、ショップの営業日時、内容、サービスの変更が急遽行われる場合がございます。その都度確認してください。