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ずば抜けた才能を見せたハンティングで愛用した、 L.L.Beanのブーツ【ベーブ・ルース編】

文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一

メイン州の自社工場で製造されたブーツ。モデル名は「メイン・ハンティング・シューズ12インチ」で、アッパーにはしなやかで防水性のあるフルグレインレザーを使用。土踏まずにもスチールの補強材が入り、安定性とサポート力もある。これは12インチモデルで高さは約30cm。¥24,200(税込)/L.L.Bean

ホームランを量産するベーブ・ルースはとにかく豪快でエネルギーの塊のような人物だった。攻撃的な性格で、大きな声を発し、猛烈な食欲で、お酒や葉巻を嗜む。金づかいが荒く、大好きなクルマも次々と乗り換える悦楽的な生活を送っていた。

そんな彼が意外にもよく楽しんでいたのが、釣りやハンティングなどのアウトドアスポーツだ。『英雄ベーブ・ルースの内幕』(R・クリーマー著 恒文社)によれば、ルースは釣りが好きで、ヤンキースで4番を打っていた同僚のゲーリッグともよく釣りに出かけていた。しかし同書には、ルースに才能があったのは釣りよりハンティングだとも書かれている。「彼のスタミナ、人並みはずれた視力、そして反射神経は、ハンティングには持ってこいであった。かつてジョージア州で狩猟をしたときなどは、野生の七面鳥のあとを7時間もつけて一発で仕止めた」というエピソードまで紹介されている。

アメリカの老舗アウトドアブランドであるL.L.Beanには、同ブランドが産んだハンティングブーツの名品「ビーン・ブーツ」を履くベーブ・ルースの写真が残されている。膝下までの長い「ビーン・ブーツ」を履き、猟銃を片手に獲物を見せているカット。このブーツは、作家アーネスト・ヘミングウェイも狩猟仲間に「絶対持ってこい」と推薦した名ブーツで、ルースも同じものを愛用していたのだ。ちなみにL.L.Beanの創業者、レオン・レオンウッド・ビーンは無類の野球好きで、メイン州にあるショップで野球のスコアブックを販売していた時期もあり、ルースとも親交があったという。その証拠に、1934年にサイン入りのボールをルースがL.L.Beanに贈っていて、そのボールの写真も残されている。

L.L.Beanは1911年、アメリカのメイン州フリーポートで創業された。ルースが履いた「ビーン・ブーツ」は創業者が発明したもので、同ブランドのオリジナル製品の第1号。苦労を経てこのブーツは誕生するが、その時期はルースが野球で活躍していたときに重なる。しかもメジャーリーグデビューを果たしたボストンは、メイン州フリーポートにも近い。ルースがヤンキースに移籍するまで、創業者レオン・レオンウッド・ビーンがフリーポートから絶大なる声援を送ったことは想像に難くない。

「ビーン・ブーツ」の特徴あるトウデザイン。ラバー素材が使われ、防水性がある。

ヒールには「MAINE HUNTIG SHOE®︎」と、会社名や会社の所在地などが刻印されている。

しなやかなフルグレインレザーを使ったアッパー。履くほどに足に馴染んでくれる。

これがL.L.Beanにいまも残されているベーブ・ルースがハンティングを楽しむ写真だ。

問い合わせ先/L.L.Bean カスタマーサービスセンターTEL.‪0422-79-9131

https://www.llbean.co.jp/

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