知る人ぞ知る香港の名店、「利工民」のTシャツ

知る人ぞ知る香港の名店、「利工民」のTシャツ

文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一
イラスト:Naoki Shoji

【ブルース・リー編】
第1回 オリエンタルな雰囲気漂う、ブラックのカンフージャケット

「利工民」は、素材のランク別にいくつかのラインを持つが、これは最高品質の「金鹿」と呼ばれる素材。薄手の素材でしなやか。着丈もやや長めなので、ブライスランズではインナー用に着ることを勧めている。東京店では長袖モデルを扱う。HK$550/利工民(ブライスランズ)

ブルース・リーお馴染みのファイティングポーズと言えば、素手か手にヌンチャクを持ち、独特の怪鳥音を発しながら相手に向き合う姿だろう。上半身は筋が浮き出た筋肉そのものか、鍛えられた身体を強調するランニング姿を誰もが想像するに違いない。

しかし初主演映画『ドラゴン危機一発』(71年)に登場したリーは、そんなイメージとは違う白い肌着風のTシャツを着ていた。途中までボタンが付いたヘンリーネックのようなデザインで、半袖か長袖のものを着用している。

リーの故郷、香港にもショップを構える原宿の超こだわりのセレクトショップ「ブライスランズ」で、このTシャツにそっくりの製品を見つけた。香港にいくつかの店を持ち、いまでも製造拠点を香港に置く「利工民(リー・クン・マン)」という店のアンダーシャツがそれだ。香港に住む多くの人たちから愛され、ブルース・リー本人やジャッキー・チェン、サモハン・キンポーなどの有名スターたちも御用達の店だと聞く。実は『ドラゴン危機一発』でリーが着たアンダーシャツは「利工民」のものだという話まである。似ているのも当然だ。

アメリカのファッションデザイナーで世界中のファッションに詳しいアラン・フラッサーは、自著『男の服装学』(平凡社刊)の中で「こじんまりした目立たない店なのだが、客筋はすごい。客の目当てはここの素晴らしいTシャツだ」と「利工民」のアンダーシャツを絶賛する。

良質のコットンを素材にした薄手のつくりで、欧米とは雰囲気が違う首元のデザインがレトロさを感じさせる。袖口に入った広めのリブは、映画の中でリーが着用したTシャツそのもの。彼はこのアンダーシャツを勝負服にして、数々の悪者たちに戦いを挑んだのかもしれない。

深い開きをもつヘンリーネックがレトロさを演出する。前立ての表生地に刺しゅうが施されているのも特徴だ。

一般的なTシャツでは袖口にこのようなリブが入ったものは少ないが、「利工民」の半袖Tシャツはリブ入り。しかも広めだ。

前立てを裏返すと、トレードマークである鹿が刺しゅうされた「利工民」のブランドタグが縫い付けられている。

ブライスランズ TEL:03-6721-0133
https://www.brycelandsco.com

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