男なら真似してみたい、セルジュ・ゲンスブールの官能的な...

男なら真似してみたい、セルジュ・ゲンスブールの官能的な着崩しスタイル

文:小暮 昌弘 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤 成一
イラスト:Naoki Shoji

第1回 レノマのTシャツ&キャップ

セルジュ・ゲンスブール、その名前を聞いただけで“官能”を感じると言う人もいるほどデカダンでダンディなフランス人です。1928年4月2日、パリ20区に生まれた彼、本名はリュシアン・ギンスブルグ。ピアノ弾きだった父の影響で、幼少期からクラシック音楽に親しみ、50年代にはパリの有名なキャバレーでピアニストとして働き始め、ボリス・ヴィアンに出逢った頃からセルジュ・ゲンスブールと名乗るようになりました。その後、歌手としてもデビューし、フランス・ギャルのために書いた『夢見るシャンソン人形』が世界的なヒットとなり、その後はフランスの音楽界を牽引し、さらには映画監督、俳優としても活躍したマルチなアーティストです。
多くの女優や女性と浮名を流しますが、60年代から英国の女優、ジェーン・バーキンと事実婚の関係に。バーキンは、バッグの名前になるほど洒落た人でしたが、ゲンスブールもまたスタイルが独特で、特にその着崩し方は他の人ではとても真似できないものでした。気取りがなく、無造作に装っても、色気が全身から発散しているようなスタイル。まさに“官能”そのものです。
今回は、そんなゲンスブールが愛したスタイルを紹介しましょう。

ナビゲーター/小暮 昌弘
法政大学卒業。学生時代よりアパレルメーカーで勤務。1982年から(株)婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に勤務。『25ans』を経て『Men’s Club』で主にファッションページを。2005年から2007年まで『Men’s Club』編集長。2009年よりフリーに。(株)LOST &FOUNDを設立。現在は、『Pen』『GQ』『Men’s Precious』などで作文を担当。

1960〜70年代にレザーブルゾンの背中、セーターのアップリケなどに使われていたモチーフをあしらったデザインのTシャツ。帽子に使われているロゴはモーリス・レノマの父親がパリに開業した店のロゴを再現したものです。素材はペーパーデニム。Tシャツ¥37,800(税込)、帽子¥12,960(税込)/ともにレノマ パリス

セルジュ・ゲンスブールと聞いて誰もが思い浮かべるのが、穿き込んだジーンズにジャケットを羽織り、無精髭のままジタンの煙草をくゆらす姿ではないでしょうか。
実はゲンスブールがこんな着こなしをするようになったのは、1960年代後半、ジェーン・バーキンと出会ってからだといわれています。ゲンスブールがよく着ていたジャケットがフランスの「レノマ」のものであることは、ファッション通には知られた事実です。
「レノマ」は、モーリス・レノマによってフランスで創業されました。63年、パリ16区に「ホワイトハウス」というブティックを開き、68年の五月革命以降、新しい時代を模索していた若者たち、アーティストがこぞって通う店となり、世界的に注目を集めるブランドとなりました。ジェームス・ブラウン、アンディ・ウォーホル、イヴ・サンローランとともに、モーリス・レノマと親交があったゲンスブールも顧客に名を連ね、同ブランドのキャンペーンにバーキンと一緒に登場するほど「レノマ」を愛用していました。ジーンズにジャケットを合わせるスタイルは、一説にはモーリス・レノマが提唱したものとも言われていますので、ゲンスブールとモーリス・レノマがともに、新しいジェントルマンスタイルを創造していったに違いありません。
「レノマ パリス」の19SSコレクションは、そんなブランドの伝統と進取の気概が感じられるものばかりです。Tシャツは1960〜70年代につくられていたパッチワークがモチーフで、素材もウルトラスエードが使われ、ラグジュアリーさ満点。既存の枠を超えたスタイルこそ「レノマ」の真骨頂なのです。

大胆にプリントが使われているTシャツ。男性だけでなく、女性でも着用できるデザイン。素材は人工皮革のウルトラスエードです。Tシャツ各¥37,800(税込)/レノマ パリス

Tシャツの襟元に付けられた伝統の織りネーム。下に書かれているのは、最初にオープンしたパリ16区のブティックのアドレスです。

2013年、ブランドの50周年記念として「ユナイテッドアローズ」とのコラボでつくられたスーツ。1960〜70年代前半のモデルを再現したものです。当時の英国からの影響を受けながら、エスプリの要素を組み込んだデザインが特徴です。このスーツは参考商品。

問い合わせ先/アントリム TEL:03-5466-1662

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