ショーン・コネリーのように艶っぽく着る、華やかな大人の...

ショーン・コネリーのように艶っぽく着る、華やかな大人のフォーマルウェア

文:小暮 昌弘 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤 成一
イラスト:Naoki Shoji

第1回 「ダンヒル」 ディナージャケット

男子服の王者は何といってもイブニング・テール・コート(夜会燕尾服)である。これを着ると男たちは最も華麗な姿になる——と著書の中で書いたのは英国王室御用達のデザイナーであり、著述家のハーディ・エイミスです。燕尾服を着用する機会はなかなかありませんが、タキシードなどのフォーマルスタイルはいまでもメンズウエアの華と言えます。それを最も艶っぽく着こなしたのは、イアン・フレミングが創造した英国諜報員を演じたショーン・コネリーかもしれません。正式な催しに出席するのにはフォーマルスタイルのルーツがあるものです。「ブラックタイでお越しください」と書かれた招待状が届いたら、それはタキシードで出席しなければなりません。カジュアルなパーティでは趣向を凝らしたスタイルも楽しめますが、正式なパーティに出席しなければならない場面も必ずあるはずです。フォーマルウエアのドレスコードは知っていて損なことはないはずです。その歴史や謂れを辿りながら、フォーマルウエアについて勉強してみましょう。第1回は現代のフォーマルウエアの華である、タキシード、いやディナージャケットです。


シングルブレスト、ピークドラペル、1ボタンのデザイン。タキシードのお手本とも言えるモデル。生地はウール70%×モヘア30%で、美しい光沢を放ちます。パンツはベルトレス仕様。サイドストラップが英国的なテイストを感じさせます。タキシード¥528,120、シャツ¥66,960、ボウタイ¥19,440、カマーバンド¥32,400、カフリンクス¥43,200/すべてダンヒル

夜間の準礼服や結婚式によく着られるタキシードですが、これはアメリカ流の呼び名です。19世紀末、タバコ王であったグリズウォールド・ロリラードが、当時の紳士のドレスコードであった燕尾服とホワイトタイに反逆して、燕尾服の裾を切った上着姿でカントリークラブの舞踏会に現れました。その場所がニューヨーク州のタキシードクラブであったことから「タキシード」と名付けられたのです。
では紳士服の本場、英国ではどうでしょうか。英国ではこのジャケットを「ディナージャケット」と呼びます。あのスパイを演じたショーン・コネリーが、女性を伴ってパーティを楽しむ艶っぽい姿を思いうかべる人も多いでしょう。1860年、皇太子時代のエドワード7世が王室のプライベートタイムに開かれたパーティで、ディナー後の喫煙用の部屋(スモーキングルーム)で、より寛げるようにと燕尾服の裾を切った服を着用しました。それで英国ではこのタイプのフォーマル服をディナージャケット、スモーキングジャケットと呼ぶようになりました。ロリラードがタキシードパークで舞踏会を開いたのは、それよりは後のことですから当時、紳士服の流行の多くは英国から発信されていたことが伺えます。
あらゆるタキシードの中でもっとも格式を漂わせるのが、原型となった燕尾服、テールコートの面影を残すものでしょう。シングルブレスト、上着のラペルの剣先が尖ったピークドラペルで拝絹が施されている。そしてパンツには側章が付きます。シャツは胸に「プレーテッド・ブザム」と呼ばれるプリーツが付いたフォーマルシャツで、ボウタイやカマーバンドなど、服だけでなくアクセサリーまで揃えなければなりません。英国を代表するブランド、ダンヒルでは現代のフォーマルウエアの華、タキシード、いやディナージャケットを中心にしたフォーマルスタイルが用意されています。滑らかな素材とモダンなスタイルが、着る者に凛々しさを演出します。

英国の老舗らしい構築的な肩のつくりで、胸のボリューム感も美しい。ピークドラペルのエッジに入った美しいステッチに、確かな職人芸を感じます。

フロントのボタン、袖の4つのボタンもフォーマルウエアらしい、スーツと同じ生地を使ったくるみボタンが採用されています。

脇ポケットはフラップのない切り込み型のポケット。タキシードの場合、脇ポケットはこのフラップなしが一般的です。

問い合わせ先/ダンヒル TEL:03-4335-1755

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