Penが博多織の老舗オカノとコラボ! 青・赤各50本限定で贅沢なネクタイを発売。

  • 写真:青木和也
  • スタイリング:井藤誠一
  • 文:小暮昌弘

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6色の経糸と精緻な市松の紋様が、赤に上品な艶感と奥行きを与える。トラッドスタイルの胸元をモダンに見せてくれるに違いない。

700年以上の歴史をもつ博多織は「経錦(たてにしき)」と呼ばれる経糸を主として使って色や柄を表現する、世界でも稀有な織物として知られている。このほどPenは福岡に拠点を構える織元オカノとコラボレーションを実現。博多織の伝統的な技術を活かし、他では手に入れることのできない至上のネクタイを世に送り出した。

オカノは1897年創業の老舗。伝統的工芸品、博多織の系譜を受け継ぐ織元として、長年着物などを製作してきた。伝統文化を未来に伝えるべく、早くから提案してきたアイテムがネクタイだ。2019 年に日本で開催された「G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議」では、各国から集まった大臣へ贈る記念品として、オカノが博多織でつくったネクタイが選ばれるなど、既に多くの実績を誇っている。

今回の企画のために特別に手がけられたネクタイは「経錦六彩(けいきんろくさい)」と名付けられたモデル。限りなく無地に見えるが「五四の市松」という市松紋様が織り込まれている。古来用いられてきた市松の紋様は上下左右に途切れずに続くため、永遠や発展、拡大を意味するが、さらに五つと四つの市松を組み合わせてデザインすることで「いつ(五) の世(四)まで繁栄する」という祈りが、この紋様に込められている。 

今回製作された「経錦六彩」は、青と赤の2種類。「五四の市松」の紋様は、3840本の経糸を手作業で並べて織ったもの。その生地を贅沢に使い、ネクタイの裏地も共地で仕立てている。

シルクの中でも最高品質の6Aランクの絹糸を使い、通常の10倍以上の撚りをかけた糸。伸縮性が高い上、摩擦にも強く、毛羽立ちも少ない。その絹糸を6色使って深い色みを表現している。

多くのネクタイは効率化を考えて高速織機で織られている。しかしオカノは、経糸を中心にした「経錦」で、低速で織ることができる小幅織機を組み上げた。この機械は世界に一台しかない。

また、通常は1色づかいされる経糸を、今回は微妙に異なる6色の糸を贅沢に使用することで、上品な艶感と奥行きのある色みを表現している。紋様自体も、通常よりかなり細かい。無地のようにも見えるが、この紋様が入ることによって、見る角度や光の加減による見た目の色の変化が生じる。

この生地を織るのが、世界に一台しかないオリジナルの織機だ。着物や帯などの製作に使われていた昔ながらの小幅織機の部品を集めて自分たちで組み立てたもので、ゆっくりしたスピー ドで唯一無二の生地を織っていく。ネクタイの縫製もすべてハンドメイド。絹織物の風合いを最大限に活かすために、ていねいな縫製にこだわり、熟練の職人たちが一点一点仕立てていく。こうしてやわらかくふっくらとしたネクタイが出来上がる。正統的な雰囲気とソフトな味わいを併せもち、昨今、メンズファッションの主流を占めるモダンなトラッドスタイルにも好相性に仕上がっている。

もとより博多織は強い打ち込みで織られるため、張りや厚みがあることが特徴だ。特に男帯は締めやすく、解けにくいことで知られ、多くの紳士たちに昔から愛用されてきた。帯を締める時に「絹鳴り」と呼ばれる衣擦れの音がするが、このネクタイも同様だ。大剣をノットに通して締め上げる時、「キュッキュッ」と音が聞こえ、伝統の絹鳴りを思わせる。上品さを湛える独特の色みと700年以上前からの伝統が生み出す音が、ネクタイを結ぶ日常を特別なものにしてくれるだろう。

ネイビーよりも鮮やかで、上品さが漂う「経錦六彩」の青。生地をよく見ると市松紋様が入っている。紋様は言葉では表せない祈りなどを未来に伝える知恵で、今回の「五四の市松」には、永遠に続く繁栄への祈りが込められている。¥25,300(税込)/オカノ(岡野)

問い合わせ先/岡野 TEL:092-952-3586 

www.penokanojapanesetie.com