初の直営店誕生で話題の「サイ」「オーラリー」で、ワザありスウェットアイテムを発見!

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    構成、文:高橋一史
    写真:宇田川 淳

    Vol.23 初の直営店誕生で話題の「サイ」「オーラリー」で、ワザありスウェットアイテムを発見!

    Scye×LOOPWHEELER

    ファッション通に支持される日本ブランドのラインアップには、たいていTシャツやスウェットシャツなどのデイリーアイテムが含まれています。気軽に着る日常着こそ手間をかけて仕立てる、そんな服づくりは日本人ならではの姿勢かもしれません。

    今回取り上げるのは、人気のふたつのブランドが今季リリースした、こだわりのスウェット素材の服です。その2ブランドとは、ベテランの「サイ(Scye)」と、新進の「オーラリー(AURALEE)」。どちらも2017年秋に、初の直営店を誕生させ話題を呼びました。両者のスウェットアイテムには、真逆の素材感を狙った面白さがあります。サイはふわふわでやわらかく、オーラリーはハリがあって硬く。着心地やシルエットを追求したこれらのデザインの妙を見ていきましょう。

    まずご紹介するのはサイで、商品名は「コーチブレザー」。その名の通り、コーチジャケットと、テーラードのブレザーとが融合したアウターです。コーチジャケットのディテールは、ラグラン袖、フロントのスナップボタン、両サイドの箱ポケット、裾のドローストラップなど。袖先はブルゾン風のリブ仕様で、手首にストレスなくフィットする軍モノのような2段階のテンションで編まれています。コーチジャケットはもともとスポーツウェアですからスウェット素材と相性がよく、さらにテーラード襟がついたことで、着た時に品性と落ち着きも感じられるようになっています。

    1時間に1mしか編めない、ふわりとした「吊裏毛」が特徴のカット&ソーブランド「ループウィラー(LOOPWHEELER)」とのコラボで制作されたこのアウターは、着心地がカーディガンのようにやわらか。秋や春にパーカ代わりに着るもよし、冬はコートのインナーに着込むもよしの、着回し自在な一着です。

    オーラリーが開発したユニークなスウェットアイテムをご紹介します。

    AURALEE

    パーカとプルオーバーがベージュ色を纏ったことで、カシミアニットのように上品な印象に生まれ変わりました。生地の表面がつるっとなめらかで、着た時に膨らんだシルエットになるハリ感も個性的。この生地はオーラリーのデザイナーである岩井良太さんが、「最も硬くハリのあるスウェットをつくるため、何度も試作を重ねました。編地と製品の段階で熱を加え縮ませることで、これ以上ないハリ感と硬さをもつ、見たことのないものに仕上がりました」と語る自信作。硬いとはいえ風合いはナチュラル。カット&ソー専業ブランドのデザイナー経験もある彼ならではの、こだわりの日常着です。

    左から、パーカ ¥28,080(税込)、プルオーバー¥23,760(税込)ともにオーラリー(TEL:03-6427-7141)

    AURALEE

    こちらは、上段に掲載したプルオーバーの色違いです。今季らしい流行色のパープル、オレンジ系のコーラルピンクが、地味めになりがちな秋冬の服装のいいアクセントになります。袖先と裾が切りっぱなしになったデザインにも注目を。リブつきの一般的なスウェットシャツと、長袖Tシャツとのいいとこ取りなデザインで、着こなしの幅が広がるように考えられています。実はこのプルオーバーは人気が高く、オーラリーの直営店ではほぼ完売……(2017年11月現在)。いますぐ欲しい方は、取扱いセレクトショップでどうぞお探しください。

    プルオーバー 各¥23,760(税込)ともにオーラリー

    続いて、2ブランドの各直営店を見ていきましょう。

    サイの初路面店「サイ マーカンタイル(Scye Mercantile)」のエントランス。©KOZO TAKAYAMA/Scye

    整然とした店内のインテリア。©KOZO TAKAYAMA/Scye

    最寄駅の東京・北参道や原宿からも少し離れ、アパレルのオフィスが多い閑静な千駄ヶ谷に、2017年8月にオープンしたサイの直営店。メンズ・レディスのラインアップで、イギリスのブランド「D.R.HARRIS」のコスメや、同じくイギリス発の「James Lock&Co.」のハットなども取り扱っています。イギリスの古いテーラリングから服づくりを学んでいるサイらしい風格が感じられる店です。ワンダーウォールの片山正通が内装を手がけました。

    サイ マーカンタイル

    東京都渋谷区千駄ヶ谷3-54-13
    TEL:03-5414-354
    営業時間:12時〜20時
    定休日:火、水


    オーラリーの初直営店は、東京・南青山に2017年9月にオープン。©AURALEE

    左右のラックで、メンズ、レディスを分けて陳列しています。©AURALEE

    スタートして約3年しか経っておらず、型数も多くはない新進ブランドが直営店をつくるのは異例なこと。固定ファンが増え続け、ファッション界からの期待も大きいオーラリーだからこそのチャレンジです。展開アイテムは、大人が着て毎日を過ごすためのミニマルなワードローブ。一着一着のなかに、服好きの心をくすぐる徹底したこだわりが詰まっています。Pen Onlineではショップ誕生のプロセスと新作アイテムを詳しく紹介した記事を掲載していますので、ぜひ以下のリンクより合わせてご覧ください。
    www.pen-online.jp/feature/fashion/auralee-shop/

    AURALEE
    東京都港区南青山6-3-2 QC cube 南青山63 1F
    TEL:03-6427-6336
    営業時間:12時〜20時
    不定休


    スウェット素材は「裏毛」とも呼ばれ、裏面がタオルのようなループ状のパイル地で、汗を吸い肌触りもいいのが特徴。このアウターは裾がヘリンボーンテープで補強され、本革タブ付きのドローストラップを内蔵。
    コーチブレザー¥49,680(税込)/サイ(マスターピースショールーム TEL:03-5414-3385)