ヘレンカミンスキーの夏帽子と、表参道ヒルズの気になる新ショップ5選

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    構成、文:高橋一史
    写真:SHINMEI(SEPT)

    Vol.02 ヘレンカミンスキーの夏帽子と、表参道ヒルズの気になる新ショップ5選

    HELEN KAMINSKI

    ファッション連載「着る/知る」のVol.02は、いま人気の服装にフィットする夏の帽子を取り上げます。その取り扱い店を始めとする新店でリニューアルした東京「表参道ヒルズ」の注目ショップにも迫ります。

    写真の帽子2点に共通するエッセンスは、アースカラーの色味と、ざっくりとした素材感です。南国のビーチリゾートを匂わせるこれらは、オーストラリアの高級帽子ブランド、「ヘレンカミンスキー(HELEN KAMINSKI)」のもの。同ブランドが得意とする、自然な風合いの天然素材が用いられたメンズ帽子です。

    大地の色であるアースカラーは、流行のファッションとよく馴染みます。ミリタリーグリーン(カーキ)のシャツやカーゴパンツ、ベージュのチノパンやグルカショーツ、ブラウンのレザーサンダルなどに合わせれば、洒落た印象がアップします。デニムや麻のシャツといった、帽子と似た素材感の服を着るのも一つのやり方。私的には「ヤエカ」「コモリ」「オーラリー」らの、オトナ人気が高い上品なブランドの服に色気を加える小道具にしたくなります。

    夏のラフな服装を格上げしてくれるのが、上質な小物の良いところ。写真奥のハンチングはヤシの木から採った「ラフィア」素材で、つばの裏にはジャカード織りの迷彩柄が。ハードな男っぽいスタイルにも活用できるデザインです。素材の編み込みに隙間が多く、裏地がメッシュで風を通すため、真夏でも愛用できます。手前のハットは、カタチはベーシックな中折れ帽ですが、周囲を覆うリボンバンドがついていません。エレガントであり、カジュアルでもあるハイブリッドさが現代的な発想です。この素材もラフィアで、素材の柔らかさが活かされており、なんと丸めて持ち歩くことができます。いつでもサッと畳んでバッグに収納できますから、活用頻度が広がりますね!

    ハイセンスな、帽子、シューズ、ファッションの店。

    広々とした「ヘレンカミンスキー表参道ヒルズ」。

    2016年のこの春、東京に新しいファッション商業施設が続々と誕生しています。中でも銀座「東急プラザ銀座」、新宿「NEWoMan(ニュウマン)」は新しいライフスタイルが感じられ、足を運ぶ価値大の館です。2006年に表参道の目抜き通りに出現した「表参道ヒルズ」も、大幅にテナントを入れ替えて3月にリニューアルしました。厳選した注目ショップを5店舗ご紹介します。

    まずは前ページの帽子がある、本館B2階の「ヘレンカミンスキー表参道ヒルズ」。白く爽やかな店内でゆったりと帽子を選ぶことができます。どの帽子も天然素材が用いられ、色味も似ています。ブランドが持つスタイルがはっきりしているのが、「ヘレンカミンスキー」の強みです。店には全身や上半身を映す大きな鏡が配置され、合わせ鏡もあり、自分の姿を左右から明るい照明の下でチェックできます。商品をきちんと客が確かめられる素晴らしい工夫です。

    「セルジオ ロッシ 表参道ヒルズ」のメンズコーナーの一角。(撮影:高橋一史)

    ラグジュアリーシューズで名高いイタリアのシューズブランド、「セルジオ ロッシ(Sergio Rossi)」も表参道ヒルズに加わりました。同ブランドの店は銀座や新宿方面に多く、表参道エリアでの誕生を待ち望んでいた人も多いでしょう。本館1階に位置するこの店は、ミラノから運んだ大きな黄金色のヤシの木のオブジェが置かれたゴージャスな空間。イタリア本国の店舗の内装に合わせたコンセプトになっています。入り口から中を覗いて「レディスオンリー?」と思った人もどうぞご安心を。右奥の小部屋にメンズが並べられていますから、ためらわずに中に入っちゃいましょう!

    本館2階の「カラー ビーコン」。

    トータルファッションの注目ショップといえば、「カラー ビーコン (kolor BEACON) 」。シーズン毎の気分を打ち出す「カラー(kolor)」より派生した同ブランドは、「いま着てもらいたいモノ」を提案する単品発想でデザインされています。このブランドの世界初の直営店がここです。ベーシックな服ともコーディネートしやすい特別感のあるデイリーウェアがずらりと揃っています。世界で注目されている、「アディダス バイ カラー(adidas by kolor)」も扱われています。店のつくりで印象的なのは、シューズやバッグ以外に棚置きをせず、どの服もラックに掛かっていること。服のカタチやディテールを店内散策だけでチェックできる、優れた展示方法といえるでしょう。

    ※ 店舗写真すべて、運営会社より提供。

    本を読んで借りられるカフェ、ファッションを感じるギャラリー

    開放的なスペースのカフェ、「森の図書室」。

    蔵書は新刊からロングセラーまでノンジャンル。

    渋谷にある会員制のブックスペース、「森の図書室」の2号店が本館地下3階にオープン。31歳の若き森 俊介さんが始めたこの店は名の通りの、本を読む場所です。休憩所のようなオープンスペースで、活字本を中心とした蔵書を自由に手に取れます。席に着きたければカウンターで飲み物やフードを注文しましょう。本は、一ヶ月間無料で借りることもできます(一部禁帯出あり)。本と同じ金額を預り金として店に渡し、一ヶ月過ぎて返却されなければ、買い取りとなるルールです。実はこの貸出しは、カフェで飲食しなくても利用が可能!渋谷と異なり会員制でもありませんし、表参道近辺で本屋が少ないこともあり、この場所は貴重な存在になるでしょう。

    クラウドファンディングにより集められた資金で入手された本の中には出資者が選んだお薦めの一冊があり、その人の思い入れが書き込まれたものもあります。「本を巡るコミュニティスペース」である「森の図書室」。ぜひ、本好きのスタッフにユニークな小説や探しているテーマを訪ねてみてください。“売る、買う” という行為が介在しないだけに、スタッフとの本談義には友人同士のような楽しさがあるのです。

    古巣に戻った、「表参道 ロケット」

    表参道ヒルズ以前にこの土地に建っていたのは、戦前から続く古い集合住宅の「同潤会アパート」でした。表参道のランドマークだったこの一部屋に20年前に出現したのがギャラリー「ロケット(ROCKET)」。原宿に移転してからも、ファッションと関わりが深いギャラリーとして名を馳せる存在でした。このたび創業された地に戻り、「表参道ROCKET」として新生スタート。場所は本館の横に位置する、昔の面影を残した同潤館3階です。以前のギャラリーも「原宿ROCKET by CATERING ROCKET」と名称変更して、“食” に関わる貸し出しスペースとして運営が続いています。

    「表参道ROCKET」は “モードの最前線” を掲げ、とくにニッポンの新しい感性にフォーカス。4月29日(金)からは、アートディレクターの千原徹也さん率いるデザイン事務所「れもんらいふ」の展覧会が始まります。ファッションの空気感が濃厚なこの地で、インパクトのあるグラフィックやタイポグラフィーを体感しましょう。(高橋一史)

    ※ 店舗写真すべて、運営会社より提供。

    帽子2点ともに、¥30,240 ヘレンカミンスキー(ヘレンカミンスキー表参道ヒルズ TEL:03-3470-2551)