品よくタフな男に憧れて。英国グレンフェルの、いまこそ着たい永遠のコート3選!

    Share:

    vol.97

    品よくタフな男に憧れて。英国グレンフェルの、いまこそ着たい永遠のコート3選!

    構成、文:高橋一史 写真:青木和也 | 

    着丈が長くなり大人の風格をまとった、伝統のハリスツイード生地で仕立てられたイギリス製ダッフルコート。¥162,800(税込)

    服には “買い時” というものがある。例えば、昔からずっと好きだった服が流行したとき。世の中にデザインのバリエーションが増えるから、お気に入りを探しやすくなる。流行が過ぎ去ったあとは、着る頻度が減っても大切に持っていればいい。時代は巡るもので、いつか再び愛用するときがやってくるだろう。

    今回ここにお届けする3着のコートも、この冬が買い時なお薦めの品だ。その理由は3つある。1番目は、ジェンダーレスファッションが注目される中で、男性的な佇まいが逆に新鮮に感じられること。2番目は、モダンな感性に満ちていながら、いつの時代も格好いい “本物” であること。そして3番目は、旅にも出られないステイホームの生活に、冒険心を運ぶワクワク感があることだ。

    ブランドは1923年創業のイギリスの老舗、グレンフェル。コート通によく知られる第一級のアウターブランドだ。知的でタフな男性像に満ち、精悍という言葉がよく似合うアクティブさに個性がある。服好きの心を「これでもか!」とくすぐる凝ったディテールや素材づかいも実に巧みだ。

    まず最初に紹介するのは、上写真のダッフルコート「ケニントン」。グレンフェルのダッフルコートの初期モデルを参照した新作で、身幅も広めに現代的になった。生地はイギリスの伝統産業である粗野なハリスツイード。裏地は背と袖が滑りのいい生地で、身頃はビンテージ風のコットン。これほど味わい深い大人のダッフルコートは、そうそう見つかるものではない。

    アウトドア仕様の生地、グレンフェルクロス

    グレンフェルクロスを表地に使った、テントから着想されたケープコート。¥159,000(税込)

    続いて紹介するのは、人に差をつける装いができるフードつきケープコートの「ケープ」だ。クラシックなミリタリーのレインウエアを再現したような、ビンテージバイクに乗りたくなる迫力の一着である。表地はコットンを高密度に織った伝統の「グレンフェルクロス」。さらに取り外しできるウールの裏地は、カシミアマフラーで名高いイギリスのジョンストンズ製だ。同メーカーの織りネームもつき、この一着でジョンストンズの毛布にくるまれる気分にも浸れる。イギリスの両雄がタッグを組んだ、ザ・ブリティッシュなアウターである。

    ベルトのDカン、前肩のガンフラップといった軍モノのディテールにも忠実な新作トレンチコート。¥195,800(税込)

    最後はやはり、グレンフェルのシンボルであるトレンチコートで締めくくろう。ブランド初期のトレンチをベースに、ゆったりとさせた新作の「ウィンザー」だ。旬のファッション性を取り入れて着丈が長くなり、短い従来品よりもエレガントな印象がアップ。光沢のあるネイビーの色は比類なき美しさである。これもグレンフェルクロスで、高級エジプト綿を高密度に織り、雨で表面が濡れても内部に染み込みにくい伝統のレインガードが施されている。ブラックウォッチタータン柄の取り外し式ウール裏地も、やはりジョンストンズ製。まさに死角なしの完璧なトレンチだ。

    オリーブグリーンのケープコートを着こなす、ヘッドデザイナーのジョスリン・クラーク。

    冒険家でもあったウィルフレッド・グレンフェル卿からの要望で開発された、グレンフェルクロスから歴史がはじまったグレンフェル。今もイギリス製にこだわり、東ロンドンの自社工場で製造されている。2015年よりヘッドデザイナーとしてデザインを統括しているのが、ジャマイカ生まれでロンドン育ちのジョスリン・クラークだ。ビンテージを愛し、アメトラまで着こなすグローバルなセンスを持つ彼の存在こそが、グレンフェルが高いファッション性とモノとしての価値とを両立させている最大の秘訣だろう。

    コロナ禍で自身の服装を改めて見つめ直す人が増えた現在、「本当に好きなモノを手に入れて長く愛する」というファッション感覚が定着してきたようだ。そんな時代において、グレンフェルの誠実なモノづくりが深く心に響く。

    問い合わせ先/コロネット
    TEL:03-5216-6521
    www.coronet.co.jp