大人はそろそろTシャツを脱ぎ捨て、プルオーバーシャツに着替えてみませんか?

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    構成、文:高橋一史
    写真:加藤佳男

    Vol.82 大人はそろそろTシャツを脱ぎ捨て、プルオーバーシャツに着替えてみませんか?

    ATELIER BÉTON

    世代間の服装の差が少なくなった現代を象徴するアイテムが、カジュアルなTシャツです。学生のユニフォームであるTシャツをFacebookのマーク・ザッカーバーグのようなIT企業トップが公の場でも愛用するようになり、Tシャツ姿で仕事をする社会人が増えました。スポーツやストリートのトレンドが席巻した近年のファッション傾向が、その動きを後押ししたといえるでしょう。ただし西洋人ほどTシャツが似合う容姿でない上に、体型も顔も貫禄がついたニッポンの大人が、若者のように颯爽とTシャツを着こなすのは容易ではありません。残念ながら、野暮ったく貧相に見えがちなのが現実です。そこで一念発起して、布帛のシャツに着替えてはいかがでしょうか。上品なファッションが人気復活してきた今年こそが、切り替えのチャンスです。

    お薦めは、頭からすっぽりと被るプルオーバー(pull over)シャツ。ポロシャツに近い雰囲気ながら、ポロよりもシックな印象。着る気分はTシャツのようにお気楽です。この記事では今季展開されている中から、3ブランドのタイプの異なるデザインをご紹介します。

    まず最初は、上写真の白いシャツ。両胸に埃の侵入を防ぐ大きなフラップポケットがついたワークウエアタイプです。たっぷりとした旬のシルエットで、組ませるパンツはワイドでもスリムでもOK。さらに着丈がヒップに掛かるほどの短かさのため、夏の短パンとも相性抜群です。クラシックなアウトドア用のマウンテンパーカにも通じる、温故知新な一着です。

    COMOLI

    この3着のコモリのシャツの共通点は、襟がスポーティなバンドカラーで片胸ポケット付きなこと。それぞれ生地やディテールが少しずつ異なります。生地は、右端がコットンのベタシャン、中央の黒がリネンのダブルクロス、左端がブロード。左端のブルーシャツはフロントをフルオープンできますが、前立てが途中までしかなくプルオーバーの雰囲気のある一着です。3着すべて着丈が長くルーズで上品な色気さえ漂い、ニッポン男性を小粋に演出するシャツです。

    シャツは右から、 ¥30,800(税込)、¥61,600(税込)、¥26,400(税込)/すべてコモリ(ワグ インク TEL : 03-5791-1501)

    A.P.C. RTH

    男女の服装の差異をなくすジェンダーレスなロングシャツにも、プルオーバータイプがあります。フランスのA.P.C.(アー・ペー・セー)とアメリカのRTH(アールティーエイチ)がコラボしたこの2着は、ポロシャツとボタンダウンシャツをミックスし、着丈を長く伸ばした個性派。生地は右のブルーが布帛で、左がカットソー。男性が袖をまくり胸元を開けて着ると、民族的なリゾートムードが表れます。男っぽさを少し和らげる感覚の着こなしがお薦めです。

    シャツは右から、 ¥34,100(税込)、¥27,500(税込)/ともにA.P.C.(アー・ペー・セー カスタマーサービス TEL:0120-500-990)
    ※ ともに2020年6月発売予定。 5月7日(木)現在、社会情勢によりフリーダイヤルが停止中。問い合わせは、以下のサイト内コンタクトフォームへ。 www.apcjp.com/jpn/inquiry/index


    汗をかく夏のシャツは、身体にくっつかない生地を選ぶのが快適に着るコツです。表面に凹凸があるコットンや、濡れてもすぐ乾くリネンなどを積極的に身に着けましょう。今年はマスキュリンなシャツが女性のトレンドに浮上しています。カップルで大人シックな装いを愉しむのもよさそうです。

    厚手生地の素材はコットン65%・リネン35%で通気性もよく快適。洗いざらしがよく似合います。

    記事冒頭のワークシャツ ¥35,200(税込)/アトリエ ベトン(スタジオ ファブワーク TEL:03-6438-9575)