春夏の靴選びは難しい! リゾート気分の天然素材でワンランク上の大人スタイルを。

    Share:

    構成、文:高橋一史
    写真:宇田川 淳

    Vol.79 春夏の靴選びは難しい! リゾート気分の天然素材でワンランク上の大人スタイルを。

    Salvatore Ferragamo

    お洒落な男性が増えた昨今でも、いまだに女性のセンスに一歩およばないのが「衣替え」の風習です。季節の移り変わりに敏感な女性は、寒い冬が終わった3月になると明るい色のスプリングコートを羽織り、軽快なシューズを履きます。アクティブなシーズンを迎えてワクワクする気持ちを全身で表現する素敵な装いです。夜も気温が高いニッポンでは、頭から足元まですべて春夏仕様にチェンジする衣替えが理に適っています。

    一方で男性も薄着にはなるものの、靴やバッグといった小物類にまで気を配る人はまだ限られるようです。冬が似合う黒の革小物は、高温多湿な夏には暗く重く感じられがち。上品でシックな服装の人気が復活してきた今年こそ、まずは足元を見直して春夏専用シューズを準備してはいかがでしょうか。お薦めなのは植物性の天然素材を使ったシューズです。

    今回紹介する3足のうちまず最初にお届けするのが、上写真のスリッポン。本格的なつくりのレザーシューズに、リゾート用のエスパドリーユのディテールが配されています。アッパーは本革スエードで、サイドやソールの素材はマイクロコーティングされたジュート繊維。前後にセパレートした厚底はモダンなスニーカーのエッセンス。2019年より新クリエイティブ ディレクターに交代し、創造性がアップした「サルバトーレ フェラガモ」の実力がよく表れた一足です。ロングパンツにはソックス履きで、短パンには素足履きで、着こなしも自由自在です。

    「パラブーツ」を代表するチロリアンシューズ「ミカエル」から、植物素材のラフィアをまとったモデルが新登場。重厚なこのシューズが軽やかな春夏向けに生まれ変わりました。つくりは古い時代の登山靴でも使われていた、二重ステッチが特徴の頑丈なノルウェージャン製法。ライニングもレザーで、ミカエルらしさが保たれています。北欧の椅子のような落ち着いた佇まいが魅力の一足です。

    シューズ  ¥57,200(税込)/パラブーツ(パラブーツ青山店 TEL:03-5766-6688)

    型はローファーながら素材はラフィアで、その表情はもはやサンダルのよう。アウトソールは高品位なレザーです。フランス人とモロッコ人による「コントレアリー」は、モロッコの市場に並ぶラフィア小物をシューズにする発想から誕生した新進ブランド。製造も同国で、味わい深いヌケ感のある仕上がりに。服装を品よくドレスダウンさせる素足履きがよく似合うスリッポンです。


    ローファー ¥42,900(税込)/コントレアリー(TEL:050-5218-3859)


    今回紹介した3足に合わせやすいパンツの素材は、同じく植物性の麻やコットン。色は春夏の日差しに映える明るいものがベストでしょう。ウールスラックスのように質感が異なるパンツを組ませるときは、シューズと色を揃えて馴染ませるのがセオリー。色を統一させると脚長に見えるメリットもあります。季節に応じて服装を変え、出会う人の心も涼しくする装いを愉しんでください。

    地面に接するアウトソールはゴム製。ジュート模様を型押しして側面と同化させた繊細な工夫が光ります。
    スリッポンシューズ  ¥97,900(税込)/サルヴァトーレ フェラガモ(フェラガモ・ジャパン TEL:0120-202-170) スカーフ は私物(以下同)