卓越したユーモアとアイロニー! クリストフ・ニーマンの絵を、ポール・スミスがファッションに。

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    構成、文:高橋一史
    写真:宇田川 淳

    Vol.78 卓越したユーモアとアイロニー! クリストフ・ニーマンの絵を、ポール・スミスがファッションに。

    PAUL SMITH+CHRISTOPH NIEMANN

    ファッションデザイナーのポール・スミスはこれまで、車のミニ、カメラのライカ、ラゲッジのグローブ・トロッター、家具のカール・ハンセン&サンなどとコラボレートしてきました。歴史ある定番プロダクトをデザイナーがポップにアレンジする手法で、そのコラボはいわば“異質な組み合わせの相乗効果”。ところが3月18日(水)から順次店頭に並ぶ、「ポール・スミス+クリストフ・ニーマン」は一味違います。デザイナーとアーティスト両名の作風がどちらもポップでユーモラスなのです。今回の試みはつまり、“似た者同士の化学反応”。その結果はどうかというと……見事な仕上がりになりました!

    クリストフ・ニーマンが自ら名乗る肩書は、「ビジュアル・ストーリーテラー」。「ナショナル・ジオグラフィック」「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」といった雑誌の表紙を手掛け、インスタグラムのフォロワー数も100万人近い人気を誇る、1970年生まれのアーティスト、作家、アニメーターです。主に人物を題材にしたイラストタッチの絵で、日常風景や社会を別モノに変えてしまいます。
    www.instagram.com/abstractsunday/?hl=ja

    ポール・スミス+クリストフ・ニーマンは日本ではメンズで全13型展開し、服から小物類まで揃います。今回はその中から一部をセレクトしてお届けしましょう。上写真のグレーTシャツは、洒落た知的なアイロニーが込められた一着。線画で描かれたのは、美術館で作品より解説文を真剣に見ている人の姿。本来解説は作品理解の補完にすぎないのに、主従が逆転しているアートの世界を描き出しています。道理を知る大人こそが似合うグラフィックTシャツです。

    夜の都会を二人だけで歩く、ミステリアスなムードが漂うモノクロの絵。Tシャツとトートバッグになりました。Tシャツには、襟裏の伸び止めテープと裾のスリットに、ポール・スミスのアイコニックなマルチストライプが使われています。トートはハリのある厚手コットンキャンバスで、内側にオープンポケットひとつのシンプルな構造。ヌメ革ハンドルと本体の、ブラウン✕ブラック配色もモダンです。

    左のTシャツ  ¥19,800(税込)、右のトート ¥31,900(税込)/ポール・スミス(ポール・スミス リミテッド TEL:03-3478-5600)

    写真左の水着女性が描かれた丸いアイテムは、取り外して使うビーチサンダル。使うのがもったいないほどのアートピースですが、何度でもつけ外しできるため、夏が終わったらハメ直して壁に飾るのも一興でしょう。右のレザースニーカーは、右足が「ハロー」、左足が「グッバイ」。日常で繰り返される挨拶であり、“陰陽” のごとく別れと出会いが表裏一体というストーリーさえ想起させる絵柄です。

    左のビーチサンダル  ¥8,800(税込)、右のスニーカー ¥55,000(税込)/ポール・スミス(ポール・スミス リミテッド TEL:03-3478-5600)


    ポール・スミスのメンズ主要店舗では、コラボの発売を記念して以下の日程でクリストフ・ニーマンのエキシビションが開催されます。ニーマンのインスタグラムのような、世界各地の風景写真にイラストを書き加えた作品が展示される予定。どうぞお見逃しなく!

    2020年3月18日(水)〜31日(火)六本木店・大阪店
    4月4日(土)〜17日(金)渋谷店・福岡店・仙台店
    4月25日(土)〜5月10日(日)京都三条店

    ※六本木店のみメンズ・レディスの複合店。

    今回のコラボのアイコンマーク。「グッバイ」の吹き出しに「ハロー」が。

    記事冒頭のTシャツ  ¥19,800(税込)/ポール・スミス(ポール・スミス リミテッド TEL:03-3478-5600)