サステナブル最前線はスニーカーにあり! 身体にも、環境にも心地よく。

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    構成、文:高橋一史
    写真:宇田川 淳

    Vol.77 サステナブル最前線はスニーカーにあり! 身体にも、環境にも心地よく。

    Allbirds

    昨年までの2010年代は、低価格でトレンド消費の「ファストファッションの時代」。これからの2020年代は、環境に配慮した「サステナブルファッションの時代」。そういえるほどアパレル各社が現在、持続可能な生産体制にシフトすべく奔走しています。製造背景を知り、納得したモノを身につけることが知的なお洒落とみなされる社会の到来です。今回の「着る/知る」は環境に配慮しつつ、デザインや快適さにも優れる2つのスニーカーブランドをクローズアップ。

    まず最初は、1月に東京・原宿駅前に店がオープンし、連日大勢の人が押し寄せるアメリカ発の「オールバーズ」。サンフランシスコのシリコンバレーに拠点を構え、「Time」誌に「世界一快適なスニーカー」と評されたブランドです。サステナビリティと快適な履き心地の両方を徹底して追求しているのが特徴です。その姿勢に共感して元アメリカ大統領のバラク・オバマ、グーグル共同創設者のラリー・ペイジ、俳優のレオナルド・ディカプリオなどが愛用。2016年にスタートしてすぐに、確かなステイタスを獲得しました。

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    設立当初から続くアイコニックなモデルが、上写真の「ウールランナー」。ニュージーランド産メリノウールをフェルト状にして伸縮性と耐久性を持たせた生地を、イタリアの高級スーツ生地メーカー「REDA」社と開発しアッパーとインソールに使っています。通気性、防臭性といった動物の毛の良さが活かされ、ソックスやスリッパのように足に馴染みます。ポリエステルの靴紐はペットボトルのリサイクル品です。パッケージの箱などの梱包は90%以上が再生ダンボール。オールバーズは19年に運搬も含めたすべての工程で、二酸化炭素の増減に影響を与えない「カーボンニュートラル」を達成しました。

    デザインはシンプルな流線形でモダンな服装に合い、プライスもリーズナブル。常に品質改良を繰り返す真摯な姿勢も、ファンに愛される理由のひとつです。

    右端は、ユーカリの木の幹をパルプ状に加工してつくったメッシュ生地のスリッポン。中央は、ウール素材のスリッポン。左端は、フッ素不使用の撥水加工を施したウールをアッパーに、サトウキビから採取したエタノールを原料にしたEVAをアウトソールに用いたハイカットモデル。


    スニーカー右から、 ¥12,500(税込)、¥12,500(税込)、¥17,500(税込)/オールバーズ(オールバーズ 原宿店 mail:help@allbirds.jp)

    20年1月10日に日本初上陸した、活気に溢れている「オールバーズ 原宿店」。縦長になった店内は型別にディスプレイされ、見やすくなっています。

    東京都渋谷区神宮前1-14-34 原宿神宮の森ビル1階
    営業:11時~20時
    不定休
    www.allbirds.jp

    VEJA

    続いて紹介するブランドは、05年に誕生したフランスの「ヴェジャ」。「VEJA」とはポルトガル語で「見る」の意味です。スニーカーの生産背景まで見られる仕組みをつくることから名付けられました。ブランドスタートのきっかけは、設立者が某国の製造工場の劣悪な労働環境を目にしたことから。フェアトレードを実現させるため、天然ゴムやオーガニックコットンなどの材料調達や、労働環境の整った工場があるブラジルで製造しています。このように“人に優しい” 考え方も、サステナビリティの重要な側面でしょう。

    さらにヴェジャは企業として、クリーンエネルギーを供給している電力会社や、“脱税天国” の国に支店を持たない銀行と取引。透明性を確保することで自社のマイナス要素もきちんと伝える姿勢を貫いています。

    スニーカーは、サイドの「V」マークをアイコンにしたスポーティデザイン。大半のモデルがオールドスクールなローテクテイストで、大人なカジュアルウエアとの相性が抜群です。使われた素材も環境への負荷が最小限に抑えられたもの。取り扱い店も広がり、さらに人気が出そうです。


    上写真の右は、アッパーがオーガニックコットンとペットボトル・リサイクル素材を使ったメッシュ生地。アウトソールはアマゾン原産の天然ゴム製。中央はレザーアッパーで、アウトソールに同じく天然ゴムを25%使用。左は、レザーアッパーが鞣し工程で重金属を使わないクロムフリー。

    スニーカー右から、¥19,800(税込)、¥22,000(税込)、¥20,900(税込)/すべてヴェジャ(シードコーポレーション TEL:03-6709-9662)

    VEJA ✕ Rick Owens

    フランスを拠点にするデザイナーズの「リック・オウエンス」が、ヴェジャに共感してコラボレートした一足。19-20年秋冬シーズンに続き、この20年春夏が2回目のコラボとなります。靴紐を何重にも取り付けたボリュームのあるシルエットが、リック・オウエンスの前衛的なウエアの足元を支えます。

    スニーカー  ¥38,500(税込)/ヴェジャ ✕ リック・オウエンス(イーストランド TEL:03-6712-6777)

    19年11月、フランス・パリにブランド初の単独店舗が誕生。メンズ・レディス・キッズが揃い、石膏と再生紙の内装でブランドの世界観を表現しています。

    15, rue de Poitou,75003 Paris,France
    営業:11時〜20時(日曜は14時〜21時)
    不定休
    www.veja-store.com


    いまやオフでも仕事でも履かれてアピール度の高いスニーカーで、サステナブル・ライフへの第一歩を踏み出すのも一興ではないでしょうか。さらに、捨てずに長く愛用することもエコにつながります。つくられたプロダクトを無駄にしない発想も気にしていきたいものです。

    ロゴが目立つスポーツスニーカーとは一線を画すミニマルデザイン。足の接地面にウールが使われたインソールは、厚手でクッション性良好。

    記事冒頭のスニーカー  ¥12,500(税込)/オールバーズ(オールバーズ 原宿店 mail:help@allbirds.jp)