写真:宇田川 淳
Vol.47 お洒落メガネ「アヤメ」がずらりと並ぶこの店は、263日間のユニークな期間限定オープンです。
「メガネ=ファッションアイテム」という考えをもつメガネデザイナーは、人の顔周りだけでなく全身に目を向けます。服装とのバランスや、生活スタイルに合うメガネをデザインするのです。その結果、派手な主張をしないのがベストと判断することもあるでしょう。現在主流のニュートラルなファッションには、さりげなく趣味がいいメガネが似合いますから。
今泉悠さんも、そんなお洒落感覚を大切にするデザイナーのひとり。自身のブランドの「アヤメ」は、佇まいが穏やかです。悪目立ちせず、人の顔を引き立てる役割が重視されています。靴を履くように、帽子を被るように身に着けるメガネなのです。アヤメは2010年にスタートするなり、すぐにファッション関係者に人気が広がりました。その大きな理由は、現代的ワードローブと相性がいい、繊細なデザインの力にあったといえるでしょう。
これまでセレクトショップのみで販売されていたアヤメが、2018年10月、東京・南青山に待望の直営店を誕生させました。リラックスした広い店内に、ゆったりとコレクションが並べられています。「これでいつでもアヤメが手に入る」、と思いきや、実はこの店は263日(約9ヵ月)という期間限定店なのです。店の詳細については記事の後半で言及します。まずは、ここで購入できるメガネのうち6本を紹介しましょう。
上写真の2点はどちらも同じ型で、色が異なります。パッと見は丸いラウンド型のようですが、実はフレームは6角形です。かけてみると、ラウンド型特有のクラシックな印象とは異なることに気付きます。丸メガネらしい優しさを保ちつつ、よりすっきりとした顔の輪郭を生み出すモデルです。
この2本も、同一の型の色違いです。ダブルブリッジでボリューム感を出しつつ、フレームを華奢にして軽い印象に仕上げられています。このフレームは、メタルフレームの内側にセルフレームを配し、外側のメタルの端(リム)を隠すように覆った、「インナーリム」という技工のもの。ブリッジとノーズパッドをシームレスにつなげたメタルパーツのモダンさや、コンパクトなサイズ感も加わり、かけるとスポーティで上品なムードが広がります。
各¥43,200(税込)/ともにアヤメ(TEL:03-6455-1103)
鼈甲色のトラディショナルなフレーム2型です。上は、丸いボストンとスクエアなウエリントンの形状をミックスした、ハイブリッドデザイン。厚いフレームは存在感があり、アメトラのような服装にアクセントを加えたい人にぴったりです。下のモデルは、フレーム下部の色のグラデーションが華やかなボストン。ブリッジの位置が高く、フレーム上部が一直線に近いラインを描いているため、丸いメガネでもクセが抑えられて多くの人の顔に馴染みやすくなっています。
各¥32,400(税込)/ともにアヤメ(TEL:03-6455-1103)
個人宅を改装した、期間限定ショップ
2018年10月11日からスタートした直営店「AYAME Open 263 Days Only Pop-up Shop」は、なぜ263日という期間限定オープンなのでしょうか。その理由は、入居したこの建物が、263日後に取り壊されてしまうから。それまでこの広いスペースを活用したいと考えた今泉さんが、ブランド初となる出店を決めたのです。
個人の住宅だったこの部屋に検眼機や研磨機を置き、本格メガネ店にアレンジ。店内にはソファが置かれ、ゆったりと買い物ができます。「メガネ屋らしからぬ店にしたかったんです」と、今泉さんは言います。クローズした後については、「他のいい物件が何とか見つかれば……。現在探している最中です。ここで購入していただいたお客様のケアもしたいですし」とのこと。まずはこの店を訪れて、アヤメの品格ある世界を堪能しましょう!
AYAME Open 263 Days Only Pop-up Shop
アヤメ オープン263デイズオンリー ポップアップ・ショップ
東京都港区南青山3-17-1 FROM5 301号室
TEL:03-6812-9119
営業時間:11時~20時
定休日:水
※2018年10月11日(木)から2019年8月末頃までの期間限定店
www.ayame-id.jp