ダッフルコートの当たり年だから登場した、個性派デザインの3着はこれ!

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    構成、文:高橋一史
    写真:宇田川 淳

    Vol.22 ダッフルコートの当たり年だから登場した、個性派デザインの3着はこれ!

    S.E.H KELLY

    寒い冬を迎えるたびに、欲しくなるのがロングコートです。防寒に優れ実用的で、シックな雰囲気の演出にも最適なコートは、ここ数年で流行中の着丈の長い服でもあるアイテム。いま愛用すれば一石二鳥、いえ、一石三鳥なお洒落を楽しめるのです。

    では、2017年秋冬の旬のコートはなんでしょうか。ビジネスシーンで役立つチェスターフィールドコート? オフタイムにも着やすいバルカラーコート? もしくは男性的なトレンチコート? どれも魅力的な定番アイテムですが、最注目なのはスポーティなダッフルコートです。これも歴史ある定番で、ルーツをたどれば漁師が着ていたアウターに行き着きます。フロントの特徴的なトグルボタンは、手袋をしたままでも着脱できるよう考案されたもの。フードによって、雨風も寒さもしのげます。半世紀以上前に英国の海軍が採用した軍モノでもあります。なお、「ダッフル」とは、ベルギーの織物産業の街の名称です。

    このコートが今季は、さまざまなブランドや店で取り扱われるようになりました。もともとほしかった人は、当たり年のいまこそ気に入るものに出合えるチャンスです。人気の理由は、トラッドなチェック柄など懐かしく素朴な英国調が復活してきた、いまのファッション感覚に即しているから。若い学生向けのイメージがあるかもしれませんが、実は大人が着ると、適度な着崩し感が出る便利なアウターなのです。インナーやパンツがプレーンなときに、ダッフルコートを羽織るだけで、動きのある洒落たバランスをつくれます。

    「着る/知る」は、テイストの異なる個性派の3着を探してきました。まずご紹介するのは、英国人デザイナー自身が暮らす、自国の素材や仕立てにこだわるタイムレスなブランド、「S.E.Hケリー(S.E.H KELLY)」(写真上、下)。古い時代の服が目の前に出現したような風格のあるコートで、現代ではつくるのが困難な生地やパーツが使われています。裏地がない点も伝統に基づいています。ざっくりとした生地感が男ゴコロをくすぐり、フードの “ひさし” にはモダンな感性も。長く着続け、 “自分ヴィンテージ” に仕上げたい一着です。

    次ページでは、このコートの色違いや、他に気になる2ブランドをお届けします。

    個性派ダッフルコートに大注目。

    S.E.H KELLY

    前ページに掲載したコートの色違いのネイビーです。ダークトーンになると、スーツの上にも羽織りやすい精悍な印象になります。フロントのロープのベージュ色がいいアクセントになり、ディテールの面白さも際立ちます。このコートは肩の袖付けが、正面はセットインスリーブで後ろがラグランスリーブになった、スプリットスリーブ仕様。腕が動かしやすく、着たときに窮屈にならない工夫が施されています。

    ¥181,440(税込)/S.E.Hケリー(マッハ55リミテッド TEL:03-5413-5530)

    COMOLI

    一方、確実に “洋服” ながら、和のテイストも感じられるストイックなコレクションを手がける日本ブランドといえば「コモリ」。秋冬新作のダッフルコートは、たっぷりとした分量感がイマドキな一着です。表地は薄くやわらかなウールで、内部には化繊の中綿が詰め込まれています。寝袋のごとく、着たまま横になりたくなるほどのふわふわで暖かな風合いは、唯一無二のオリジナルなスタイル。着こなしは、ルーズでボリューミーなパンツを合わせれば、全身をダボッとさせる旬のスタイリングになるでしょう。

    各¥108,000(税込)/ともにコモリ(アルファ PR TEL:03-5413-3546)

    Neil Barrett

    最後にお届けするのは、ダッフルコートにインスパイアされた、モードブランドならではの都会的なショートブルゾン。トグルボタンはベルクロどめのレザータブにアレンジされ、アウトポケットは手を入れやすいピーコート風。裏地付きで、内側の両胸部分にもテーラード仕立てのポケットがあります。ハリのある生地は、表地がウールで、裏面にネオプレン素材を貼り付けたハイブリッドなもの。「ニール バレット」が得意とするデザイン手法による、軽量で機能的な一着です。

    ¥196,540(税込)/ニール バレット(ニール バレット GINZA SIX TEL:03-3572-5216)


    ダッフルコートは、ナイロンのマウンテンパーカのようなスポーツアイテムをよく着る人こそ、新鮮に感じられるはず。これもフードが付いた、いわば “パーカ” ですから、スウェットパンツやスニーカーとのコーディネートも簡単にできます。日常をともに過ごすのに、ちょうどいいアウターなのです。

    トグルは伝統的なホーン(牛の角)で、ロープはジュート(麻)。生地は、英国の古い工場にて高密度に織られたウールの「カバートクロス」。
    ダッフルコート ¥181,440(税込)/S.E.Hケリー(マッハ55リミテッド TEL:03-5413-5530)