ビンテージテイストのスリムチノパン発見! パンツ専業ブランドはなぜこんなに愛用者が多い !?

    Share:

    構成、文:高橋一史
    写真:宇田川 淳

    Vol.13 ビンテージテイストのスリムチノパン発見! パンツ専業ブランドはなぜこんなに愛用者が多い !?

    PT01

    「プレミアムフライデー」という新語をご存知でしょうか?経済産業省や経団連らが打ち出した試みで、月末の金曜日は仕事を午後3時で切り上げ、余暇や消費活動に使ってもらおうというもの。2017年2月24日(金)から実施され、「カジュアルフライデー」と同様に服装を軽快にする動きが広がりそうです。仕事着をアレンジするとき、気にしていただきたいのがパンツです。シャツにネクタイ姿のままでも、ボトムを変えるだけで印象がガラッと変わります。実はパンツはトップス以上に重要な、お洒落の鍵を握るアイテム。服装に緊張感を与えるのもリラックスさせるのも、カッコいいのもダサいのも、すべてはパンツしだいと言っていいでしょう。

    曲げ伸ばしが多い脚は、上半身と較べて運動量が大きい部位でもあります。きちんと仕立てられたパンツでないと、ストレスを感じながら日常を過ごすことにもなりかねません。今回の「着る/知る」は、大人に似合う品の良さと機能性を両立させた、パンツ専業ブランドにフォーカスします。

    ご紹介する一本は、イタリアの「PT01(ピーティゼロウーノ)」から2017年春夏にデビューする新シリーズ、「コンセプトチノ(CONCEPT CHINO)」のもの。この「マリンチノ(MARINE CHINO)」は、昔のワークウェアのディテールとモダンな形が見事に融合しています。生地の風合いも、サスペンダー用のボタンも、ヒップポケットやコインポケットのカーブした形状も、ビンテージ感たっぷり。シルエットはすっきりとスリムで、都会的な着こなしができます。股上が浅めで低い位置でホールドできますから、お腹が気になる人も穿きやすいでしょう。

    コットンパンツを選ぶときに大切なポイントを一つ。それは穿いてクタッとなった状態の見た目も想像すること。ウールと異なりコットンは、一日と経たずに膝の裏側に深い横じわが入り、センタークリースも消えてしまいます。軍モノのデッドストックふうのこの一本はきっと、穿き込んでも味が出るはず。専業メーカーならではの充実した機能も見逃せません。次ページにて、世界を代表するきれいめパンツの3ブランドをピックアップし、高級パンツを購入するメリットについてお話します。 

    歩きやすく快適なパンツ選びを。

    セレクトショップや百貨店で取り扱われる代表的なパンツブランドが、「PT01」、「インコテックス(INCOTEX)」、「GTA(ジーティーアー)」です。どれもイタリアブランドで、トラッドファンやモード好きでも、パンツだけはこれらの中から選ぶというリピーターが多い人気者です。ファッションメディアではよく“美脚パンツ” と称され、確かに形が美しく脚長に見えるのが特長の一つ。ですがここでは、道具としての優れた機能面に着目しようと思います。イタリアのパンツを穿くメリットは主に、

    1. 穿き続けてもウエストがずり落ちない。
    2. ポケットが多く収納力がある。
    3. スリムでもしゃがめるほど動きやすい。

    それぞれのポイントを見ていきましょう。

    PT01の織りネーム。

    ウールパンツ。¥39,960 PT01(PT JAPAN TEL:03-5485-0058)

    前ページでもご紹介したPT01は、色彩や形が豊かで、カジュアルからドレスまで幅広く展開しています。時代感覚を捉えることに長けたモダンなブランドといえるでしょう。上写真のドレッシーなスラックスは、仕立ても凝った一本。腰裏(=マーベルト)が何層も重ねられ、「ウエストがずり落ちない」ようになっています。タックインしたシャツが摩擦で固定され、ずるずるとはみ出すこともありません。背中の中央がV字型にカットされているのは、腰をかがめたときの運動量確保の工夫。ファスナー周りに持ち出し(=天狗)をつけ、ボタンタブを幾重にも取り付け、安定したホールドを実現させています。

    インコテックスの織りネーム。

    ストライプのコットンパンツ。(エディター私物)

    インコテックスは、イタリアパンツの代名詞的な存在です。この一本はストライプ模様ながらコットン素材で、カジュアルとドレスの中間を狙ったもの。「ポケットが多い」点に着目しましょう。ベーシックなパンツのポケットは通常、前に2つ、後ろに2つの合計4つですが、これはコインポケットがつき、前ポケットの内部にも小ポケットがつきます。重量のあるクルマや家のキー、小銭を入れるためです。収納しても表にアタリが出ず、内部で動かない便利なパーツです。一般的なパンツに多くのポケットがつけられない主な理由は、コスト削減のため。服の製造コストは、ステッチ一つで幾ら、といわれる世界。機能を追求するほどに高価な服になるのです。

    GTAの織りネーム。

    クラシカルなウールパンツ。(エディター私物)

    GTAはPT01ほどの華やかさはないにせよ、トレンド感のある商品展開が得意です。各ショップの別注品も多く見られます。ここに掲載した3ブランドのプライスゾーンは2万円強〜4万円前後と似通っていますが、その中でも、ややリーズナブルなのがGTAです。
    「しゃがめるほど動きやすい」のは、GTAに限らずイタリアのパンツ専業ブランドの大きな特長。他国のメーカーが追いつけない理由は、イタリア人の気質によるものかもしれません。高度な技術で製造するだけでは生み出せない、体が感じる快楽があるのです。彫刻のように立体的な仕立てが、軽快な足さばきを生みます。サイドは腰骨に沿うように丸みがつけられ、計算された生地の裁断と縫製により、余計なシワが出ずにストンと下に落ちます。これらの工夫により  “美脚” と呼ばれるシルエットになるのですが、ストレスフリーな点に大きな魅力を感じる人も多いでしょう。

    今回の「着る/知る」は、見た目のカッコよさだけではないイタリアパンツの優秀さをお届けしましたが、お役に立ちましたか?ご紹介したブランドには様々な形や素材、仕立て方法があり、日本人体型に特化したモデルもあります。しかし体型は千差万別ですから、体に合わなければ上等なパンツでもフィットせず、穿き心地も悪くなってしまいます。ぜひ店でガンガン試着なさってください。ご自身にぴったり合う、マイベストな一本を見つけましょう。(高橋一史)

    腰裏にマリンチノの織りネームつき。パンツ各色 ¥37,800 PT01
    問い合わせ先/PT JAPAN TEL:03-5485-0058
    pt-japan.com/