イニシャル“H”にロマンあり。「ヘルノ」の温故知新なトレンチコートに注目!

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    NEWSな服&小物

    Vol.31写真:安達紗希子(CROSSOVER) 文:今野 壘

    イニシャル“H”にロマンあり。「ヘルノ」の温故知新なトレンチコートに注目!

    一目でわかる仕立てのよさや機能素材やテクノロジーなど、近年のヘルノを象徴するアプローチをあえて控えめにしたトレンチコート。華美な装飾もない分、ベルトを垂らすと覗くモノグラム柄が目を引く。

    抜群に軽くて暖かいダウンや立体的なパターンのハイスペックウエアなど、「ヘルノ」の名を耳にして連想するアイテムは人それぞれだろう。しかし、ここで取り上げたクラシックなトレンチコートは、そんなイメージのどれとも異なるはず。実際、このコートは最もヘルノらしい一着でもあるのだ。というのも、ヘルノのルーツは1948年の創業時に制作されたレインコートにあり、ブランド名は本社のすぐそばを流れるエルノ川に由来する。そして、このコートを展開する「レインコレクション」は、創業当時のものづくりに対するオマージュから生まれたライン。今回のトレンチも初期アーカイブから着想を得て、そのスタイルを現代的なバランスで復刻した。近年は自社での素材開発に注力しているヘルノ。本トレンチに使用されているヘルノオリジナルファブリック「デロン」は、クラシカルな佇まいのコットンギャバジンだがもちろん撥水仕様だ。

    シックなデザインのアクセントにもなっているベルトや襟裏に張られた別生地はコットン混ポリエステル素材で、ブランドイニシャルの“H”と、エルノ川の流れを表現したラインを組み合わせたモノグラムの総柄がクラシックさと気品を醸している。そして、意外と知られていないが、この“H”には水素原子、つまりブランドの重要なキーワードである“水”を象徴するという意図が込められている。イタリア北部、雨の多いマジョーレ湖のほとりで生まれた老舗の起源と歴史を感じさせる、レトロモダンな最新作。男の食指を動かすには、十分すぎるロマンがそこにはある。

    スタイルは普遍的なトレンチコートを踏襲。やや小ぶりでシャープな襟や浅めのダブルブレスト、ボリューム感を抑えたエポーレットなど、随所でモダナイズされているのでクラシカルながら野暮ったさは皆無だ。

    襟裏の切り替えは、チンストラップを留めると現れる。このモノグラムは創業者のジュゼッペ・マレンツィが個人的に愛用していたトランクやボストンバッグに使用されていたファブリックを復刻したもの。

    “Rain Collection”の名が入るブランドタグにあしらった王冠のデザインは、創業時のロゴラベルを復刻したもので、このラインが特別なものであることを示している。その下には、オリジナルレシピで仕上げた撥水生地“デロン”の使用を示したタグが付く。

    ヘルノ「Hモノグラム トレンチコート」
    【価格】¥115,500(税込)
    【素材】コットン(撥水)
    【問い合わせ先】ヘルノ・ジャパン
    TEL:03-6427-3424