グーグルとリーバイス®が共同開発した、触ってスマホを操作する服が未来の生活をつくるか。

  • 写真・文:高橋一史

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新登場したスマホ連動のジャケット、「リーバイス® トラッカー ジャケット ウィズ ジャカード バイ グーグル」¥27,500(税込)

2019年10月5日(土)に、スマホコントロール機能を搭載したデニムジャケットの第二弾が日本で発売された。「グーグル」と「リーバイス」が共同開発したこの「リーバイス® トラッカー ジャケット ウィズ ジャカード バイ グーグル(Levi's Trucker Jacket with Jacquard by Google)」は、今回が日本での初展開となる。スマホ画面を見なくても服にタッチして操作できる、スマート家電ならぬスマートウエアである。10月3日(木)に東京で発表会が行われ、その全貌が明らかになった。見えてきたのは、人々の生活を快適にしようとするこの服に込められた理念だ。

まずはジャケットの機能の説明をしよう。左袖口(上写真で示された白サークル部分)に小型のデバイスが差し込まれている。「ジャカードタグ」と呼ばれるこのデバイスと連動しているのが袖口のカフスで、この生地こそがジャケットのキモだ。グーグルが開発した導電性の繊維を織り込んだデニムになっている。見た目にはほかの部位と同じだが、触るとカフスには固さがあることに気づく。タッチセンサーの能力があり、ここに触れるだけで端子に接続したジャカードタグに命令できるのだ。

スマホ画面のごとくサッとスワイプしたりタップすれば、ブルートゥース接続されたスマホが動く。手でカフスを覆えばスマホアプリがミュートされる。やれることは、音楽の再生・停止・スキップ、道案内・到着時間の確認、電話の応対、ニュース・電気予報などの情報チェックなど。イヤホンを耳につければ外出中に自分だけが利用できる。スマホのカメラをリモートコントロールする自撮り機能があるのも嬉しい。さらに、ジャカードタグ本体のライトの点灯で、スマホの置き忘れやメール着信を通知してくれるのも便利だ。

カフスから覗く黒のパーツが、ジャカードタグ。ジャケットの洗濯はこれを外せばOK。

いつでもどこでも、袖口を触ってスマホを操作。(写真提供:リーバイ・ストラウス ジャパン)

ただし、常に全機能を使えるのではない。専用アプリ「ジャカード バイ グーグル」で機能を割り当てる。使うアプリのそれぞれをスマホで立ち上げておく事前準備も必須だ。何の設定もせず、朝の外出時にスマホをバッグの奥にしまい込み、満員電車に揺られて袖口を撫でても動作しないのでご注意を。画面を見ないシンプルな操作ゆえに、やれることは限られている。とはいえ今後さらにアップデートされる予定なので、どのように進化するか着目したい。

3日の発表会では開発を担当したリーバイ・ストラウス社のポール・ディリンジャーが登壇した。彼の話で印象的だったのは、
「炭鉱夫の作業着からはじまり、人々の生活をよくするために我々は品質改良を重ねてきた。現代人にスマホの画面でなく、“人の目を見る” 生活を提案したい。スマートテクノロジーをただやりたかったのではない」
という理念。ハイテクに目を向けても、リーバイス®の軸は昔からブレていない。もちろん、「このカフスがブレスレットのようなアクセサリーなら、毎日違う服と合わせられるのに」と考える人もいるだろう。しかしそれだと家電メーカーのウエアラブル端末に似た、温もりや味わい深さに欠ける工業製品になりがちだ。テクノロジーに寄り添いながらも人の心を忘れない未来型のファッションは、このような試みが行われてこそ発展していく。

JACQUARDの文字が印象的な専用パッチ。ジャケットのサイズはXS〜XLの5サイズ展開。必要動作環境は、Android 6.0.1以降、iOS 10以降を搭載したiPhone 6またはそれ以降。

裾内側はスマホを入れられるポケット。ジャケットの発売先は、リーバイス®ストア全店、リーバイス®公式オンラインストア、ビームス一部店舗にて。


問い合わせ先/リーバイ・ストラウス ジャパン
TEL:0120-099-501
www.levi.jp