バンドカラーのシャツを、音楽家・江﨑文武が偏愛する理由とは?

  • 写真:加藤佳男
  • 文:力石恒元
  • イラスト:阿部伸二(karera)

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江﨑文武(えざき・あやたけ)●1992年、福岡県生まれ。音楽家、キーボーディスト。バンドWONKや音楽プロジェクト「ミレニアムパレード」に参加。また、King Gnuなどアーティストのレコーディングやライブをサポートする。自身初のソロシングル「薄光」をリリース。

幼い頃からピアノを習い、現在キーボーディスト、作曲家として活躍する江﨑文武さん。憧れの音楽家を追う中で、彼らが着ている服にある共通点を発見した。それは、自分のスタンダードを決める明確な理由だった。

「大学の大先輩であり敬愛する音楽家の坂本龍一さん、いちばん好きな作曲家であるトランペット奏者の三宅純さんなど、昔から憧れのアーティストが白いバンドカラーシャツをよく着ている気がして。私もそんな大人になれたらと思い、集め始めました」

ドキュメンタリー番組で三宅さんが着ていたイッセイミヤケに始まり、ファッション関係の友人のアドバイスで購入したジル サンダーなど、シャツの評判がいいブランドの“立襟”を手に取るようになったという。

「着る服が決まっていると朝が効率よく進み、一日のリズムが整います。いまではバンドカラーシャツを着ると仕事モードに切り替わります。毎日違う服を着る楽しさもあるけど、私は安定してクオリティの高い服を着たい」

信頼するつくり手のマインドが宿ったものを身に着けると、自分もいい作品を手がけることができる。そんな魔法を信じながら、今日も白シャツに袖を通す。

右:イッセイミヤケのシャツはシワになりづらく、ツアーの移動中にも最適。左:独特なビッグシルエットのジル サンダーのシャツ。緻密なパターンと縫製に惚れ込み、アイロン掛けも楽しみのひとつだと語る。

三宅さんの影響でバンドカラーを意識した江﨑さん。去年購入したイッセイ ミヤケのシャツはタブのような立襟の開閉により、表情の変化が楽しめる。

ジル サンダーのデザイナー、ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻が手がける定番のシャツ。写真は肩に入る曲線のデザインも特徴的な2020年春夏シーズンの一着。

※Pen2020年9/15号「あたらしい定番と、自分のための定番」特集よりPen編集部が再編集した記事です。