ボヘミアンな「サンローラン」の、 春風になびくバハ・カーディガン

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    NEWSな服&小物

    Vol.32写真:安達紗希子(CROSSOVER) 文:今野 壘

    ボヘミアンな「サンローラン」の、 春風になびくバハ・カーディガン

    ジャカード織の総柄と美しいドレープがマッチした、ボリューミーなデザイン。フロントはボタンレスで、羽織り専用というのも潔い。タンクトップと合わせたランウェイにならい、薄着の上に気負わず重ねたい。

    初夏のカリフォルニア、ロサンゼルスはマリブビーチのサンセットを舞台にランウェイショーを行なったサンローラン。2020年春夏のコレクションは、開放感で満ちている。あらゆる分野の成功者や富裕層が移り住んでくるこの街のイメージはメゾンが長年培ってきたラグジュアリーな世界観とも重なるが、それ以上に現クリエイティブディレクター、アンソニー・ヴァカレロが生み出すリラックスしつつもグラマラスなムードが、こんなシチュエーションにとにかく映える。そして、ボリューム感と白黒のフローラルモチーフが目を引いたカーディガンは、それをもっとも端的に表したコレクションピースのひとつだろう。

    まるでポンチョのようにたっぷりとした袖から身頃にかけてのシェイプや、肉厚でもなめらかで、素肌に触れても心地よいウールモヘアの素材感。70年代ボヘミアンのムードと、サーファーたちのアフターサーフのスタイルに着想を得たというエピソードにも頷け、米国との国境に面した西メキシコの山岳半島にちなんだ「バハ・カーディガン」なるモデル名もなるほど、しっくりくる。アンソニーいわく「ミック・ジャガーが見せてくれたワードローブがきっかけ」となり、1975年のローリング・ストーンズのコンサートツアーから多くのアイデアとインスピレーションを得たという今シーズン。このカーディガンもさながらロックスターのように絵になるけれど、いまは肩の力を少し抜いて、自然体のままでサラッと羽織りたい。きっとそれこそが西海岸の意気であり、粋なのだから。

    袖を広げると、このカーディガンのパターンワークの特異さがよくわかる。その名も“バットウィングスリーブ”と呼ばれ、裾と袖口、それぞれのリブをつなぐような直線的なラインが着たときには独特のボリューミーなシルエットへと変わる。動きやすいので着心地も快適だ。

    同じ柄が続くため目立ちにくいが、フロントの左右にはそれぞれパッチポケットがあしらわれている。全体のシルエットに合わせたやや深めのつくりで、ラフに羽織った時に、自然と手を入れてしまいたくなる絶妙な配置もさすが。

    サンローラン「バハ・カーディガン」
    【価格】¥253,000(税込)
    【素材】ウール、モヘア、ナイロン
    【問い合わせ先】サンローラン クライアントサービス
    TEL:0120-95-2746