2015年秋冬からスタートしたコーチのプレタポルテコレクション。今年の春夏は、あらためて古き良きアメリカンスタイルに立ち返っています。キーとなるのはやはりレザーで培った技術を活かしたアイテムたちで、ランウェイには鮮やかなカラーリングのレザージャケットやメルトンで切り替えたスタジャンなどが並びました。ロックやパンク、50年代のビートニクなど様々なカウンターカルチャーをミックスさせ表現したコレクションです。そのカウンターカルチャーの一つとして、LA在住のアーティスト、ゲイリー・ベースマンのイラストが取り入れられています。キッチュでサブカル的な要素が強い彼の作品を、大胆にあしらったのがこのレザージャケットです。レザーの上から白のペンキで全体を塗り、それがはがれ落ちてきたようなクラック加工。そして、その上からさらにプリントを施す。レザーの扱いに長けたコーチならではの逸品です。

形はシンプルなシングルライダーズ。シルエットはほどよくタイトで、胸には2つのフラップポケット、ショルダーにはエポレットが付き、クラシカルなディテールを踏襲しています。素材は厚みのあるカーフを使用。もちろん、老舗に息づく鞣しの技で、軽くてしなやかな着心地に仕上がっています。”グロかわいい”とでも表現したいような、インパクトのあるイラストは、ボディやアームホール、襟やエポレットに至るまで、隅々まで描き込まれています。主役級アイテムとはまさにこのこと。デニムに合わせてカジュアルに着こなしても、トラウザーズに合わせてドレスアップしても、着る人の個性を存分に主張してくれます。

ちなみにランウェイでは、ドローストリングスつきのイージートラウザーズに合わせて、スポーティに表現されました。ジップの仕様はダブルクロージャー。下からも引き上げることができ、シルエットに変化をつけられます。このペンキのような白の塗料は着込めば着込むほど、自然とはがれ落ちてきて、エイジングとはまた違った経年変化を楽しめるはずです。

滑らかでくったりとしたレザーのボディに、スポーツバッグを思わせるライムイエローのストラップ。今シーズンの「エルメス」のランウェイを彩ったカラーパレットをそのまま表現したかのような、楽しげな色づかいのクラッチバッグです。ベースのカラーが落ち着いたカーキなので、どんな装いにもなじむのが特徴。また、アクセントとなるストラップのイエローがこの時期らしいムードを演出、バッグひとつで春夏の軽やかさを醸し出せます。

見た目は軽快ですが、ステンレスの金具ひとつを例にとっても、エルメスならではのこだわりが詰まっています。表面はマットな光沢が特徴のヘアライン仕上げ、サイド部分は鏡面仕上げと、輝きに差をつけています。どちらも金具の加工としては手間のかかるもの。手仕事でしか成し得ないデザインとなっており、クラフトマンシップが息づきます。

A4サイズの書類がすっぽりと収まるサイズ感。マチは薄めなので、休日であれば財布とスマートフォンを。オンタイムであれば書類やタブレットを入れて、スマートに持つのが理想です。バックルを留める箇所は4段階で調節可能、容量を変化させることができ、出先で物が増えたときも安心です。ライニングの布は、ストラップと同色のライムイエローが一面に。鮮やかな色の仕掛けで、気分を高めてくれます。内側にはジップ付きのポケットが配され、貴重品などの収納に有効です。

レザーの使い分けも秀逸で、ボディは柔らかなスムースレザー、アタリが出やすい底面は厚めのレザーで切り替えてあります。柔らかさも厚さも違うレザーを、巧みな縫製技術によって美しく仕上げてあり、ここでも職人技の細やかさを堪能できます。スポーティでエレガントなクラッチバッグは、コーディネートの華となり、持つだけで気分まで高揚させてくれる逸品です。