「アーツ&サイエンス」が目を付ける、英国人陶芸家スティーブ・ハリソンの...

「アーツ&サイエンス」が目を付ける、英国人陶芸家スティーブ・ハリソンの新たな境地を目撃せよ。

取材・文:小川彩 撮影:榊水麗

比率の研究をテーマとした制作では、大きな作品も小さな作品も、同じプロポーションで同じ仕上げになるように心がけた、というスティーブ。

東京・青山にある「アーツ&サイエンス」のギャラリー、「AT THE CORNER BY ARTS&SCIENCE(アット ザ コーナー バイ アーツ&サイエンス)」で、英国人陶芸家スティーブ・ハリソンによる展覧会「BIG IN JAPAN(ビッグ イン ジャパン)」を開催中です。塩と釉薬の化学反応を利用した手法、ソルトグレーズを用いた作風が彼の作品の特徴です。独特な風合いと、西洋的でクラシカルなフォルム、そしてその人柄によって多くのファンを魅了してきたスティーブ。約2年ぶりとなる今展示では、花器やポット、ピッチャーからマグにいたる、“大きな”新作が並びます。

展覧会「ビッグ イン ジャパン」は、アーツ&サイエンスのオーナー兼クリエイティブディレクターであるソニア パークから投げかけられたテーマ「比率の研究-STUDY OF PROPORTION」をもとに生まれた作品で構成されています。単にサイズを大きくするのではなく、大小異なるサイズでも、同じように目に映るよう仕上げることにスティーブは興味をもったそうです。しかしながら、そのプロセスは長い旅路のようなものでした。そもそも自身のスタジオで使っていたガス窯では大作が焼けないため、協力工房であるエリントン・リーイーの大きな炭窯で制作をする必要があったのです。安定して端正な表情に仕上がるガス窯と異なり、釉薬の変化がまったく読めない炭焼きの窯。その偶発的で独自な表情を受け入れるのに時間がかかったそうです。今回の展示では、作品の最終的な美しさだけでなく、スティーブ自身の心境の変化や、それゆえに生じた作品の微妙なニュアンスを感じてほしいとスティーブは話します。エリントン・リーイーで焼いたシンプルな肌の作品から、花のモチーフをつけたもの、そして炭の窯でソルトグレーズの回数を重ねたものなど。スティーブの新たな境地を表す作品たちをお見逃しなく。

スティーブ・ハリソン●1967年、イギリス・ウォールセンド生まれ。陶芸家。抱えているのは、展示作品の中でもお気に入りのひとつ、ひまわりの花をモチーフにしたポット。

「今回の制作を通じて、陶芸の技術と経験を広げることができました。大きな作品のディテールを追求したことによって、今後は通常のサイズの作品のディテールにも、よりこだわることができるでしょう」とスティーブ。

2年間の軌跡を一望できる展示会場。日常使いの作品とは異なる熱量と力が作品から滲み出る。「彫刻作品を鑑賞する時のように、一点一点を独立した存在としてじっくりと眺めてほしい」とスティーブ。新作を収めた作品集『ビッグ イン ジャパン』(新聞型/フルカラー/全40ページ/53作品収録)も販売。

紅茶とともに旅することをテーマとした作品「TRAVELLING WITH TEA(トラベリング ウィズ ティー)」。グローブトロッターによる漆仕上げの特注ティーケースに、ティーポット、茶入れ、茶碗、茶漉し、茶さじ、そしてオーク製トレーなど、スティーブが細部までこだわってつくった道具を収めた貴重な限定品。京都のアーツ&サイエンス京都別館で4月28日(日)から5月12日(日)まで展示販売。

ビッグ イン ジャパン

開催期間:2019年4月26日(金)〜2019年5月26日(日)
開催場所:アット ザ コーナー バイ アーツ&サイエンス
東京都港区南青山6ー1ー6  パレス青山109
TEL:03-6418-7960
開催時間:12時〜20時


トラベリング ウィズ ティー

開催期間:2019年4月28日(日)〜2019年5月12日(日)
開催場所:アーツ&サイエンス京都別館
京都市中京区御幸町通三条上ル丸屋町334-1
TEL:075-253-6658
開催時間:11時〜19時

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