気分は王族か大富豪⁉ MET提供のバーチャル背景で、ビデオ会議をゴージャスに。【コロナと闘う世界の都市から】

  • 文:鈴木希実 

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NEW YORKニューヨーク

気分は王族か大富豪⁉ MET提供のバーチャル背景で、ビデオ会議をゴージャスに。【コロナと闘う世界の都市から】

文:鈴木希実 

METのオープンアクセスのページに掲載中の画像から、19世紀後期に完成した「Worsham-Rockefeller Dressing Room」。50年以上にわたりロックフェラー家が住んだ屋敷の一室で、保存状態のよいインテリアを目の当たりにできる貴重な空間。米国内で最高峰といわれる緻密な室内装飾は、クローゼットの機能をアートの域にまで高めた好例として知られる。 Image by: The Metropolitan Museum of Art

外出自粛もしくは禁止となっている都市の芸術・文化施設の多くがバーチャルで楽しめるプログラムを提供し、いまやそれが普通のこととなりつつある。
実は、こんな事態となるずっと以前から、メトロポリタン美術館(MET)はアートを、そしてMETをより身近に感じてもらうためのアイデアとして、ある試みを行ってきた。それが、40万点以上にものぼるパブリックドメインな(知的財産権の発生しない)所蔵品データの一部をサイト上で公開すること。当該ページは「オープンアクセス」と呼ばれ、非営利目的であれば誰でも無料でダウンロードできる、貴重なアーカイブとなっている。

2020年5月中旬現在、休館中のMETでは、オープンアクセスに掲載中の画像から、展示空間のインテリアをビデオ会議などのバーチャルな背景に使うことを提案。約186㎢の広さを誇る館内は、歴史的価値のある部屋や空間をまるごと移設しての保存展示が可能であり、その画像の活用を促すものだ。オープンアクセスのページで検索してみると、18世紀フランスのきらびやかなロココ調のリビングや、寄木細工や螺鈿が美しいオスマン帝国時代の小部屋など、時代も様式も超えたバラエティの豊富さが光る。

オンラインミーティングはいまや「ステイホーム」に不可欠なツール。スクリーンに映る自室の背景に飽きてきたら、いまはまだ足を踏み入れることのできないMETの美しい空間に思いを馳せつつ、手軽に”模様替え”を楽しむのはいかがだろうか。