古都の街並みと未来感あふれる建築のコントラストがたまらない! NLアーキテクツによる「フォーラム・フローニンゲン(Forum Groningen)」

  • 文:ユイキヨミ

Share:

AMSTERDAMアムステルダム

古都の街並みと未来感あふれる建築のコントラストがたまらない! NLアーキテクツによる「フォーラム・フローニンゲン(Forum Groningen)」

文:ユイキヨミ

街の新アイコンとなった「フォーラム・フローニンゲン」。高さ45mの巨大な建築だが、面取りしたフォルムがボリューム感を緩和しているせいか、街のどの角度から見ても圧迫感がない。photo: Marcel van der Burg

毎年、オランダの建築家協会が、施主と社会に大きな付加価値を与える建築に与える「BNAアワード」。2020年の受賞は、前年度にオープンしたアムステルダムの建築事務所NLアーキテクツによる「フォーラム・フローニンゲン(Forum Groningen)」に輝いた。他にも複数のアワードを受賞した同建築はいま、最も広く知られるオランダ新建築のひとつとなった。

オランダ北部最大の都市、フローニンゲン市の中心部再開発の要として建設されたこの建築は、さまざまな公共の機能を有する10階建ての複合施設だ。図書館や展示会場、観光局、国内初となるアニメーション&ゲームミュージアム、キッズプレイスペースや勉強室、5つの映画館のほか、最上階にはカフェ・レストラン、市内を一望できる屋上テラスなどがある。老若男女誰もが楽しめる、市民のリビングルームだ。

約1000年の歴史を誇る中世の街並みに、知的かつ近代的な印象を付加したアイコニックな巨大建築は、その内部も迫力満点。ジグザクに走るエスカレーターで結ばれた東棟と西棟の間に広がるアトリウムが、まさに壮観の一言である。アムステルダムからは電車で2時間半強かかるフローニンゲンだが、「足を伸ばす価値あり!」という建築ツーリストが多いのも頷ける。

東棟と西棟を結ぶエスカレーターアトリウムに伸びるエスカレーターは、まるで空中回廊のよう。開放感ある空間で訪れる人を歓迎する、市民のリビングルームとして機能している。photo: Marcel van der Burg

NLアーキテクツの主宰者。左から、ピーター・バンネンベルグ、ワルター・ファン・ダイク、カミル・クラーセ。2017年には、権威あるミース・ファン・デル・ローエ賞も受賞した建築事務所だ。 www.nlarchitects.nl photo: Jean Pierre Jans