第3回を迎えた「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ 2019」の大賞発表と授賞式が、東京・赤坂の草月会館で華やかに行われました。ロエベ ファンデーションは、ラグジュアリー レザー ブランド「ロエベ」が設立した芸術・文化活動を支援する団体です。クラフトに特化したこの賞は、革工房からスタートしたロエベの歴史を踏まえ、国際的なアルチザンの発掘と支援、素材、技術、美学を共有することを目的に、クリエイティブ ディレクターのジョナサン・アンダーソンにより発案されました。今年は応募作品数が100カ国から約2500点と、第1回から44%も増加し、3年の間にクラフトに関わる世界中のアーティストや作家にとって、目指すべき国際的な賞として成長したことを印象づけました。
見事大賞に輝いたのは、石塚源太による漆芸作品『Surface Tactility #11』でした。伝統的な技法である乾漆と溜塗りを追求している姿勢と、ネット袋に入って販売されているミカンの形状にインスパイアされたという、ユニークでタイムレスな造形が高く評価されました。今年は29名のファイナリストのうち10名を日本人が占め、大賞だけでなく特別賞にも日本人が選ばれ、「日本からの応募作品が非常に多く、選考は困難を極めました」とアンダーソンは振り返ります。
7月22日まで草月会館で開催中のファイナリスト作品展は、イサム・ノグチが手がけた御影石の石庭にファイナリスト29名の作品が一堂に会した見応えのある展示。各作品を鑑賞すると、ガラス、木、金属、石、ファブリックなど、素材の新たな魅力を掘り下げる点にきめ細やかにフォーカスしていること、そして技術・デザイン・コンセプトなどが洗練された印象を強く受けました。積み重ねてきた伝統や歴史を踏まえた上での、未来に通用する普遍的なフォルムや存在感を実現しているか。ロエベファウンデーションが投げかける価値観は、それぞれの国のクラフトの概念を拡張しつつ、ユニバーサルに認識の幅を広げ、自由な発想へとアルチザンを導くひとつのきっかけとなるでしょう。
また、毎週土曜日にジャーナリストの川上典李子さんをモデレーターに迎え、クラフトやデザイン、アートにまつわる多彩なゲストを招いてトークセッションを開催。詳細はデータ欄参照。
ロエベ ファンデーション クラフト プライズ 2019 ファイナリスト作品展
会期:2019年6月26日(水)〜7月22日(月)
会場:草月会館 石庭「天国」
東京都港区赤坂7−2−21
入場料:無料
開催時間:10時~19時(金曜は20時まで)
TEL:03-6215-6116
loewecraftprize.com/jp
トークセション
7月6日(土)皆川明氏(minä perhonen代表、デザイナー)
7月13日(土)西尾洋一氏(Casa Brutus編集長)、上條昌宏氏(AXIS編集長)
7月20日(土)ロエベファンデーションクラフト2019大賞受賞者 石塚源太氏
時間:14時~15時30分
会場:草月会館(2F談話室)
東京都赤坂7丁目2-21
参加方法:希望者は予定時刻に会場に来場ください(人数多数の場合は先着順)