腕時計×アートの華麗なる競演が再び! ミラノ・デザインウィーク2019に出展する、「グランドセイコー」のインスタレーションに注目。

  • 文:和田達彦

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ミラノ・デザインウィーク2019の出展イメージ。セイコー独自の駆動機構、スプリングドライブが紡ぐ「移ろい流れ続ける時と、その永続性」がインスタレーションなどで表現され、自然に寄り添う日本ならではの時間意識と時の本質を追求するブランドの世界観を体現する。

イタリアのミラノで今年4月9日(火)から14日(日)まで開催される、世界最大規模のデザインの祭典「ミラノ・デザインウィーク2019」。このイベントに、日本を代表する腕時計ブランド「グランドセイコー」が昨年に続いて出展します。展示の舞台となるのは、モンテナポレオーネ通りに近いポルディ・ペッツォーリ美術館。17世紀に建設された館を活用し、ミラノ有数の貴族ポルディ・ペッツォーリ家の絵画や工芸コレクションを公開している邸宅美術館です。

今回の展示テーマは「THE NATURE OF TIME」。「自然」と「本質」というふたつの意味をもつ「NATURE」という言葉を、すべての営みが自然の一部であるとする日本ならではの時間意識、そしてグランドセイコーが常に追求してきた時の本質と捉え、誕生20周年を迎えるセイコー独自の駆動機構、スプリングドライブが紡ぐ「移ろい流れ続ける時と、その永続性」がインスタレーションなどによって可視化されます。

プロデューサーを務めるのは昨年と同じく、デザインの企画制作を行うTRUNKの桐山登士樹。そしてクリエイターには、デザインスタジオのwe+(ウィープラス)とCGディレクターの阿部伸吾が起用されました。we+は「FLUX」と題し、「流動、絶え間ない変化」をコンセプトにしたインスタレーションとオブジェを制作。インスタレーションでは、流体が宿す光が変容していくさまに映像表現を重ねることで時の移ろいや流れの可視化を試み、スプリングドライブの世界観と思想を表現しました。そして有機的なフォルムのガラスオブジェは、手に取ると光る粒子と内部のパーツが絡み合い、時計の中に凝縮された「時の移ろいと儚さ」を感じることができます。

一方、阿部伸吾の映像作品「movement」は、スプリングドライブのなめらかに秒針を動かす力を、見る者の心をどこか別の遠くへ運んでくれる動力と見立てて、スプリングドライブがつくり出す「時間知覚」の緩やかな変化、そして数秒間の心の小旅行を映像で表現。また会場には紙縒(こよ)り和紙を用い、繭に包まれたようにやわらかく、かつ西洋の歴史的建築の中にありながら和を感じさせる空間が演出されます。

精密な時計によって刻まれていく時間、そして時計の進み具合と必ずしも一致するとは限らない主観的な時間――。それらの感覚との新たな対話を通して、改めて時というものが導く力を感じることができる、魅力的な展示となりそうです。

2013年に林登志也(写真右)と安藤北斗(写真左)によって設立されたデザインスタジオ「we+(ウィープラス)」。リサーチと実験から得られた知見を活かし、さまざまな企業や組織のプロジェクトを手がける。インスタレーションをはじめとしたコミッションワーク、ブランディング、プロダクト開発、グラフィックデザインなど多岐に渡る領域で活動を展開。

ストーリー性をもつ映像表現が高く評価されている、CGディレクターの阿部伸吾。映像のみならず映像投影に関わる空間演出、インタラクティブ作品、インスタレーション、さらにファッションショーや舞台の映像演出など、メディアのかたちにとらわれない作品を数多く手がけている。

スプリングドライブを搭載したグランドセイコーを代表するモデル「SBGA211」¥669,600(税込)。構想から20年以上の開発期間を経て1999年に誕生したスプリングドライブは、ぜんまい駆動でありながら日差1秒以内という高精度を実現。2004年からグランドセイコーに搭載され、卓越した匠の技による日本の繊細なモノづくりと先端技術の融合が世界から高い評価を受けている。

『THE NATURE OF TIME』

開催期間:2019年4月9日(火)~4月14(日)
開催場所:ポルディ・ペッツォーリ美術館
Via Manzoni 12 20121 Milano
開館時間:10時~19時

問い合わせ先/セイコーウオッチ お客様相談室
TEL:0120-302-617(グランドセイコー専用ダイヤル)
www.grand-seiko.com