グッドデザインカンパニーの20年の軌跡を一望する展覧会。多くの人の心を動かすデザインの力を再発見しました。

  • 文:Pen編集部

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『good design company 1998-2018』会場風景。

クリエイティブ・ディレクター水野学さん率いる、グッドデザインカンパニー(good design company)の展覧会がクリエイションギャラリーG8で開催。『good design company 1998-2018』と題された20年におよぶ仕事を一望する展覧会で、聞けば個展は初めてとのこと。展示は膨大なプロジェクトから厳選された、いわばアーティスト本人が選んだベスト盤でしょうか。入ってすぐ左手に貼られたポスター、「i Lumine」の清々しい私の主張や東京ミッドタウンの「それでは、よい春を。」の軽やかな書体が1曲目。そこからはデザインの力ってコレだ!とハッとさせられる魅力的なヒットソングが続きます。宇多田ヒカルさんのポスター、相鉄の鉄道車両、中川政七商店のパッケージ……デザインしてきたものは幅広く、その消費者や利用者もさまざまですが、受け取る側の心が自然に動くような絶妙なコミュニケーションの糸がデザインによって結ばれていることに驚かされます。

会場の壁の外側には1998年から現在までの年表が掲示され、プロジェクトの写真がおよそ1000点も並んでいました。Penが初めて水野学さんにインタビューしたのは2005年。色や形といった表面的なことだけではなく、「世の中を良くすることがデザイン」と語ってくれたことを覚えています。そのポリシーを貫いた、地道な活動の軌跡がこの年表に現れているように思いました。

展示物のそばには、グッドデザインカンパニーのスタッフが制作背景を綴った小さなメモがピンで止められています(それは会期中も少しずつ増えています!)。なかには水野さんの言葉や、gdc恋愛道も。だから、この展覧会はゆっくり見てください。そして帰る前に、この展覧会のチラシをいま一度見てみてください。通常のものより分厚い紙を使ったその表面、黒の強い文字はシルクスクリーン印刷だそうです。

爽やかなポスターに誘われるように会場へ。右手の白壁には水野学さんの長い挨拶がさりげなく貼られています。

欧文、和文、それぞれの書体の醸し出す空気感がていねいに活かされていて、ずっと手元に置いておきたくなるグラフィックです。

会場の最奥にはラーメンズの公演ポスターが。グッドデザインカンパニーが長年手がけてきたポスターでアイデア、印刷ともに非常に凝っています。ファンも多いポスターです。

グッドデザインカンパニーの年表は、左の柱を超えてその左奥にまで続いています。

『good design company 1998-2018』

開催期間:2018年9月12日(水)〜 2018年10月18日(木)
開催場所:クリエイションギャラリーG8
東京都中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
TEL:03-6835-2260
開館時間:11時〜19時
休館日:日、祝
入場無料
http://rcc.recruit.co.jp