イタリア建築界の父、ジオ・ポンティ展がパリ装飾美術館で開催。パリの人々を魅了し、5月5日まで会期が延長されています。

  • 文:Pen編集部

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Conception graphique : BETC et Italo Lupi Crédits photos : © Gio Ponti Archives ; Editoriale Domus S.p.A., all rights reserved ; Paris, MAD, photo Jean Tholance ; Francesco Radino ; Courtesy Wright Auctions ; Associazione Amici di Doccia / Arrigo Coppitz ; Vincent Thibert

昨年秋、パリ装飾美術館で幕を開けた、イタリア建築界の父、ジオ・ポンティ(1891〜1979年)の大回顧展。フランスで初めて開催された初の本格的なジオ・ポンティ展は反響を呼び、去る2月で終了の予定でしたが5月5日まで会期が延長されました。パリの人々を魅了している展覧会は、どんな内容なのでしょうか? ポンティが設計したタラント大聖堂のような、幾何学図形を切り抜いた白いファサードが見学する人々を出迎えます。

"Tutto Ponti: Gio Ponti archi-designer"(トゥット・ポンティ:ジオ・ポンティ アーキ=デザイナー)展会場入り口。

タラント大聖堂、1964-1970年。photo: © Luca Massari

妻ジュリアと寛ぐジオ・ポンティ、1957年。内装や家具は自ら手がけたもの。© Gio Ponti Archives

ジオ・ポンティは1891年、ミラノに生まれ、ミラノ工科大学を卒業後、1921年から建築に取り組み始めました。リチャード ジノリのアート・ディレクターを務め、デザイン誌『ドムス』を創刊。ミラノの超高層ビル「ピレリタワー」や、住宅、教会など建築の仕事の他、名作「スーパーレジェーラ」など家具もデザイン。展覧会は、ポンティの1921年から78年までのこうした多彩な仕事を、年代順に振り返る構成です。製品の他、プロジェクト別に、図面や模型も展示。実際の住宅やオフィスなどポンティが設計・デザインした空間や広告ビジュアルも添えられていて当時の雰囲気も伝わってきます。特にいくつかのプロジェクトのインテリアを床や天井に至るまで部分的にまるごと再現したコーナーは、ポンティによってそのスペースがどれほど豊かに彩られたか、改めて発見することが多い展示でした。モダンであるだけではなく、ときに華麗でときに温もりをたたえ、ときにユーモアもあり心が奪われるのです。

ポンティは生前、最も恒久的な素材はなんですか?と問われ「芸術です」と答えました。展覧会を通して響いてくる、偉大な建築家・デザイナーの織りなす軽やかな調べ……、巨匠が語った芸術がどんなものであったか体感できるような気がします。目と心に喜びを与え、心身がともに安らぐ建築・デザイン。生活の美の奥深さに気付かせてくれるところが、パリの人々を刺激しているのかもしれません。

天井の高さを活かして、オリジナルの家具と往時のインテリアや広告ビジュアルを展示。

ポンティが設計したモンティカティーニ社ビルのインテリアを再現。椅子やデスクもポンティがデザイン。

ポンティの自宅を再現したコーナー。オレンジ、黄色、白の斜めのストライプが入ったタイルでつくり出す温かな雰囲気はいま見ても新鮮です。

ポンティが設計したピレリタワーの模型も展示されています。

リチャード ジノリのためにデザインした『考古学の散歩』。ポンティは1923年にリチャードジノリのアート・ディレクターとなり、新古典主義に着想を得た芸術性の高いものを発表しました。

展覧会会場の入り口近くには、ポンティがデザインした家具に座ってひと休みできるコーナーもありました。これらはイタリアの家具ブランド、モルテーニによって復刻・製造されているものです。

"Tutto Ponti: Gio Ponti archi-designer"
(トゥット・ポンティ:ジオ・ポンティ アーキ=デザイナー)

会場:Musée des Arts Decoratifs パリ装飾美術館
住所:107 rue de Rivoli, 75001 Paris FRANCE
TEL:+33-(0)1-44-55-57-50
会期:2018年10月19日(金)〜2019年5月5日(日) 
開館時間:11時〜18時(木曜は21時まで、ただし展覧会と宝飾展示室に限る。チケット購入窓口は閉館45分前に終了)
休館日:月、1/1、5/1、12/25
料金:一般11ユーロ(NEFでの企画展入場料)
http://madparis.fr