ファッションからインテリアや雑貨まで、伝統的な手仕事と新旧のデザインを融合させたスタイルが人気のセレクトショップBEAMSのレーベル「フェニカ」。その「フェニカ」の毎年恒例のイベント「OKINAWAN MARKET」が、今年も3月2日(金)から開幕します。伝統的な沖縄の陶器“やちむん”をメインに、ガラス器、紅型の雑貨、アクセサリー、食品など、沖縄のクラフトを幅広く紹介するこのイベント。なかでも毎年1000点を超える品揃えを誇る陶器は、オープンの日にファンが列をなすほどの人気アイテムです。毎年の反響を受けて、今年は1300点以上のやちむんが用意され、会場を埋め尽くします。
「フェニカ」のやちむんの魅力は、ディレクターとして企画やバイイングを手がけるテリー・エリスと北村恵子の両氏がたびたび沖縄の窯に足を運び、自らの目で一点一点、選んだものであること。その中には、二人の意見を取り入れた別注のやちむんも数多く含まれています。それは、長年にわたって築き上げたつくり手たちとの信頼関係によるもので、それが、他のいわゆる“陶器市”とは大きく違うフェニカならではの人気の理由といっていいでしょう。
「沖縄のつくり手さんとの関わりも、もう20年以上になります。今年は長年お付き合いのある工房から独立して数年になる若手の方たちの成長ぶりが著しいので、その点もぜひ見ていただきたいですね」と、エリスさんと北村さんも語ります。
すべての“やちむん”が、二人の目を通してじっくり選ばれたもの。
では、気になる若手のつくり手も含めて、今回のやちむんの中から二人のお勧めを幾つかご紹介しましょう。
器の淵をぐるぐると泳いでいるような魚の絵柄が印象的な皿は、菅原謙の作品です。
「魚は沖縄の器の伝統的なモチーフですが、菅原さんは伝統にこだわりながらとても彼らしい魚を作っていらっしゃいます。皿の淵に魚を配置するデザインや、リズム感のある鱗、目の描き方などとても新鮮です」
カラフルなジグザグ模様もやちむんでは昔ながらの絵柄。それを女性らしいタッチで描くのは、仲里香織です。
「仲里さんは読谷村・北窯の工房で修業されていた頃からジグザグの絵付けをされていました。独立後は登り窯から灯油窯に変わり、同じ土や釉薬を使っても工房の時とは自然と仕上がりが違ってきます。色合いや描き方が優しい雰囲気ですね」
ベテランの作り手では、照屋佳信のコーヒードリッパーも見逃せません。
「照屋さんご自身、コーヒーが大好きで、以前から台形のドリッパーをつくられていたのですが、今回、ろくろで引きやすい円錐形をお願いしてみました。線の描き方、中の溝の削り方など、とても味わい深いものが出来上がってきました」
北窯の松田米司工房のおすすめは、飛び鉋の紋様の皿や、蓋物、一輪挿し、小型の厨子甕など。飛び鉋は20世紀の陶芸家、金城次郎の作品をヒントにしたのだとか。
「17世紀から19世紀の焼き物にも素敵だなと思うものがたくさんあります。今ではつくり方がわからない作品も多く、古い本の写真を米司さんに見せて、これを今、つくったらどんな風になりますか、と相談することもあります。すると、昔の人はこんなものよくつくったね、どうやってつくったんだろうねと言いながら、試しにつくってくださる。そういう作業から新しいものが生まれてくることもあります」
北窯の松田共司さんの瓶も同じようなスタイルで、昔の朝鮮の影響を受けた時代の形と絵柄を再現したもの。このような1点ものが数多くそろっているのも今回のマーケットの特徴です。
一方、紅型作家の宮城守男デザインのプリント手ぬぐいやお守りは、思わず手にとってみたくなる鮮やかさ。ガラスでは、フィンランドのイッタラのグラスのようにとつくってもらった「ガラス工房晴天」のグラスも並びます。
「本染めの紅型はとても高価ですが、プリントだと気軽にお求めいただけるのではないかと思います。紅型も焼き物もガラスも、手仕事のものは二つと同じものがないところが魅力。今回は新しい感覚のものだけでなく古いものもミックスしていますので、より自分に合ったものを選んでいただければと思います」と北村さん。
手ごたえと楽しさ満載の「OKINAWAN MARKET」。お気に入りの一品を、ぜひ見つけに出かけてください。
「OKINAWAN MARKET2018」
開催期間:2018年3月2日(金)〜3月11日(日)
開催場所:原宿インターナショナルギャラリー ビームス 2階 fennicaコーナー
東京都渋谷区神宮前3-25-15・2F
TEL:03-3470-3948
開館時間:11時〜20時
不定休