パリなどの事例が話題。公共の場でコロナ感染症を防ぐ、3つのソリューショ...

パリなどの事例が話題。公共の場でコロナ感染症を防ぐ、3つのソリューションとは!?

文:高田昌枝(P1)、ユイキヨミ(P2〜3)

昨年5月、4区の小学校の正門前に登場した白とブルーの波。ブルーは、登校する子どもたちが並ぶ場所。白は、送り迎えの保護者用。学校のある歩行者専用道路の入り口には、パリ市の紋章の帆船とともに「学校のあるエリアへようこそ」と書かれている。

学校や駅、スタジアムなど人が集う場所の感染症対策は重要。距離を知らせるサインや紫外線を用いるアイデアなど、パリとアムステルダムの事例が話題だ。


セーヌ川の波を目印に、距離を保って街を安全航行!━━ソーシャル・ディスタンスのためのサイン

19区の小学校の周辺。「私たちの間は1m」と書かれている。学校の入り口付近には、ブルーの波が打ち寄せている。

路面に描かれた白やブルーの波。シンプルでいて、どこか微笑みを誘うデザインが昨年5月、パリの街なかに登場した。マスク着用も日常化していなかった当時のパリで、最初に取られたコロナ感染対策はソーシャル・ディスタンス。この波形は、人との距離を取ることを促すサインだ。手がけたのは、デザイナーズユニット「スタジオ5・5」。パリ市から、このデザイン公募の知らせを受けたのは4月初めだった。

「ロックダウンで生活が激変した時でした。パリジャンのひとりとして、日常を少しでもよいものにできるならとやる気になった。この重苦しい時代に、誰にでもわかりやすく楽しいものが求められていると感じました」とスタジオ創始者のひとり、ヴァンサン・バランジェは言う。「最初は、もっと機能的なものがいいのだろうかとも考えた。でも、いま必要なのは詩的なものや物語だろう、と」。そこで浮かんだのが、セーヌ川を航行する帆船を描いたパリ市の紋章。人の流れをコントロールする目的、パリらしい船の航行、パリのグラフィックの歴史を踏まえた市の紋章から発想した、セーヌの波だ。「ひと言で言えば、『僕らの街を安全に航行しよう』というメッセージです」

デザインの要素はこの「波」だけ。シンプルだからこそ、さまざまなシーンに対応でき、コロナ対策を越えても残っていく可能性を秘めている。

デザインは白とブルーの波形のラインだけと、きわめてシンプル。故に学校や商店街、駅、市場など、さまざまな場所に対応できる。市はステンシル用のキットをつくり、20の区役所に配布。最初のテスト運用では、4区と19区の小学校が選ばれた。「パンデミックという深刻な問題にユーモラスなデザイン?と躊躇されもしたが、運用後の反応は温かかった」とバランジェは振り返る。波のマークを利用して、子どもたちが遊ぶようになった。市内にあるふたつの屋外市場では、開催日以外にも市場の場所を告知できるサインとして、このデザインを取り入れた。きっかけは感染症対策でも、詩的で笑顔を喚起するデザインは、必要な時期が終わった後も残っていくのだろう。

スタジオ5・5 Studio 5·5 ●パリのデザイン学校でともに学んだ、クレール・ルナール、ジャン=セバスチャン・ブラン、アントニー・ルボセ、ヴァンサン・バランジェの4人が2003年に立ち上げたユニット。プロダクトやパッケージ、空間デザインなど幅広く手がけている。www.5-5.paris

※Pen2021年5/1号「コロナの時代に、デザインができること。」特集よりPen編集部が再編集した記事です。

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