カルティエの現代作品に迫る展覧会が開催。メゾンの革新性をひも解く展示品は必見です。

  • 文:梶原博子

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カルティエの芸術性や創造性、技術の象徴的存在である《大型の「ポルティコ」ミステリークロック》 カルティエ パリ、1923年 ゴールド、プラチナ、ロッククリスタル、ダイヤモンド、コーラル、オニキス、ブラックエナメル カルティエ コレクション Marian Gérard, Cartier Collection © Cartier

世界中で愛されるフランスの宝飾ブランド、カルティエ。イギリス王室をはじめ、スペイン、ロシア、ギリシャ、モナコ、ベルギー、インドなど、各国の王室御用達のメゾンとしてあまりにも有名です。人々を魅了してやまない理由は、その卓越したクラフツマンシップにあると言えるでしょう。2019年10月2日から12月16日まで、東京・六本木の国立新美術館で、そんなカルティエのクリエイションに迫る展覧会『カルティエ、時の結晶』が開催されます。

これまでもカルティエの展覧会は各地で開催されてきましたが、本展では世界初の試みとして、1970年代以降の現代作品にフィーチャー。約300点の作品を展示し、その創作活動における革新性、現代性、独自性を、メゾンが築き上げてきた創作の歴史と併せて紹介します。

杉本博司と榊田倫之が主宰する「新素材研究所」が手がけた会場構成も必見。会場には、美術的価値の高いアーカイブ作品の他、ジュエリーや時計制作のための道具、カルティエのクリエイションの源となる原石が並びます。メゾンを支えるクラフツマンシップの真髄を、ぜひ感じてみてください。

通常は公開されることのない、世界の個人所蔵作品を数多く展示しています。《ネックレス》カルティエ、2018年 ホワイトゴールド、ダイヤモンド、エメラルド、スピネル、ガーネット、ターコイズ、オニキス 個人蔵 Vincent Wulveryck © Cartier

1914年に登場して以来、女性と自由を象徴してきたパンテールパターンのブレスレット。カルティエ、2017年 ホワイトゴールド、オニキス、エメラルド、ダイヤモンド 個人蔵 Vincent Wulveryck © Cartier

『カルティエ、時の結晶』
開催期間:2019年10月2日(水)〜12月16日(月)
開催場所:国立新美術館 企画展示室2E
東京都港区六本木7-22-2
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開催時間:10時~18時、10時~20時(金、土)※入場は閉館の30分前まで
入場料:一般¥1,600他
https://Cartier2019.exhn.jp

※開催に合わせて、10月2日~14日(ただし10月18日(火)は休館)まで、六本木21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3にて、フランスの伝統工芸の最高技能者だけに贈られる称号「メートルダール」に認定されたグリプティシアン(宝石彫刻師)であるフィリップ・ニコラが来日。制作のかたわら後進の指導も行っているニコラが、アトリエのような雰囲気の会場でグリプティシアンの技を特別に披露します。また、カルティエの芸術時計工房「メゾン デ メティエダール」からは、長年受け継がれる寄木細工の技法「マルケトリ」の職人を招聘し、デモンストレーションが行われます。