世界中から「美しい本」が集結! 本に触れられる展覧会「世界のブックデザイン2015-16」が開催中。

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    受賞図書 集合写真

    近年、書籍や雑誌の売れ行きが落ち込みながらも、電子書籍への移行がなかなか進まない日本。いまでは、アナログとデジタル書籍が、完全に棲み分けられている形になっているといって良いでしょう。これも長い文学史や印刷技術の歴史を持つ日本ならではの、独特の文化なのかもしれません。もちろん、こうした書籍文化は、世界でも確固たる地位を築いています。

    現在、印刷博物館 P&Pギャラリーで開催中なのが、世界中で選ばれた「美しい本」を一挙に展示する展覧会「世界のブックデザイン2015-16」です。

    会場で展示されているのは、毎年、ドイツのライプチヒ・ブックフェアで開催される「世界で最も美しい本コンクール」の16年度入選図書13点に、日本、ドイツ、オランダ、オーストリア、カナダ、中国の6カ国のコンクール入選図書を加えた、約180点の書籍。コンクールの審査基準は、デザイン、コンセプト、機能性、タイポグラフィ、素材の選択、印刷、製本などですが、美術的コンテストと違うのは、流通といった制約の中で量産された本が対象だということ。これら世界中で生み出された量産書籍を、ドイツ国内外の専門家が、数週間かけて選出するわけです。

    日本では、出版、デザイン、印刷、製本産業の向上、発展と読書推進を目的とする、社団法人日本書籍出版協会主催の「造本装幀コンクール」入選作がエントリーされ、これまで多くの書籍が賞に選ばれてきました(会場では50回をむかえた「造本装幀コンクール」の歴史ある秀作約50点も展示)。

    「世界のブックデザイン2015-16」の最大の特徴は、全ての書籍を実際に手に取って確かめられることでしょう。本には、知識やデータを得るだけでなく、手に馴染む感触や重さによって、個人的な記憶や感情を思い起こさせてくれる大事な機能もあります。世界最高峰のブックデザインと造本技術を、手触り、質感、重さで体感すると、あなたは何を感じるのでしょうか。同時に、なぜ日本で電子書籍が大きく発展しないのか見えてくるかも。その意味で本展は、むしろデジタル世代に、いろいろなヒントを与えてくれるエキシビジョンなのかもしれません。(幕田けいた)

    Titus Knegtel, Other Evidence: Blindfold, Titus Knegtel デザイン。世界で最も美しい本2016 金の活字賞

    Peter Behrens, Zeitloses und Zeitbewegtes,Dölling und Galitz Verlag, Hamburg/ München 発行 Bernd Kuchenbeiser + Christian Lange デザイン。ドイツの最も美しい本2016 入賞

    本企画のポスター。

    「世界のブックデザイン2015-16 feat.造本装幀コンクール50回記念展」

    開催期間:~年3 月5 日(日)
    開催時間:10時~18時
    開催場所:印刷博物館 P&P ギャラリー
    文京区水道1 丁目3 番3 号 トッパン小石川ビル
    休館日:毎週月曜日 ※1 月9 日(月・祝)は開館、12 月29 日(木)~2017 年1 月3 日(火)、1 月10 日(火)
    無料※印刷博物館本展示場にご入場の際は入場料が必要です。

    http://www.printing-museum.org/exhibition/pp/161203/index.html