東京で見られるのはいまだけ! 北欧の巨匠、アルヴァ・アアルトの展覧会が...

東京で見られるのはいまだけ! 北欧の巨匠、アルヴァ・アアルトの展覧会が20年ぶりに開催中。

文:はろるど

東京ステーションギャラリーでの展示風景。アルテック社のペンダントランプとともに、スツールやアームチェア、サイドテーブルなどが並べられています。右手前に見えるスツールはらせん状に積み重ねることが可能で、アアルトの機能主義を代表するプロダクトとして知られています。©Hayato Wakabayashi

20世紀のフィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アアルト。環境との調和を常に考え、周囲の自然を内部空間へ呼び込むような建築は、いまも古びることがありません。また、妻アイノと立ち上げたインテリアメーカー、アルテック社のプロダクトも、根強い人気があります。現在、東京ステーションギャラリーで開催されている『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』は、ドイツを皮切りにヨーロッパ各国と日本を巡ってきた国際展。昨年の神奈川県立近代美術館葉山、名古屋市美術館での展示も好評を博し、東京へとやってきました。

アアルトは、アートとも深い関わりがありました。薄板を曲げる技術である「曲げ木」に注目してみましょう。フランスの彫刻家、ジャン・アルプの有機的なフォルムの影響を受けているのです。また、動く彫刻で知られるアレクサンダー・カルダーと親交を深め、画家のフェルナン・レジェとも度々議論を交わしたアアルトは、レジェの「建築家はあらゆる芸術を束ねる指揮者である」という言葉に深い感銘を受けます。そもそも「アルテック」とは、アートとテクノロジーを重ねた造語。アルテックの店舗ではジョアン・ミロやパブロ・ピカソらの個展も開催し、アートを世に発信しました。自ら絵も描いたアアルトは、同時代のアーティストたちと交流しながら、そこにインスピレーションの源を求めたのです。

もちろん展覧会では、アートとの関係以外にも、8つの観点から多面的にアアルトの業績を紹介しています。代表的な建築の模型やドローイングをはじめ、家具、ガラス製品、建材のサンプルも多く出展され、写真や資料を含めると、実に300点にも及びます。赤レンガに囲まれた展示室の中央に並ぶさまざまなチェアをペンダントランプが照らす光景は、東京ステーションギャラリーだからこそ見られるもの。ベッドやキャビネットを置いた『パイミオのサナトリウム』の再現展示も見どころの1つです。建築はもちろん、アートの視点から鑑賞しても興味深い、国内では20年ぶりとなるアアルト展。東京で見られるチャンスをお見逃しなく!


さらにアアルトの仕事を知りたい人は、ヨーロッパの辺境から新しい建築の姿を模索した、北欧の巨匠アルヴァ・アアルトを追って。 の記事もどうぞ。

アルヴァ・アアルト『パイミオのサナトリウム』1928~1933年 アアルトの出世作で、北欧モダニズム建築のきっかけになった作品の1つ。1933年、トゥルク郊外の森の中に、結核の療養所として建てられました。写真:アルミン・リンケ ©Armin Linke, 2014

アルヴァ・アアルト『アームチェア 41 パイミオ』1932年 サナトリウムのためにデザインしたアームチェア。宙に浮いたような構造を特徴としています。結核患者の身体を優しく支えるため、スチールではなく合板を用いてつくられました。こうしたアアルトの軽やかで有機的なフォルムは当時の家具デザインに衝撃を与え、新たなスタンダートとして評価されました。photo: Jürgen Hans ©Vitra Design Museum

『パイミオのサナトリウム』の再現展示。眩しすぎない照明や優しい色調、防音の壁、音を吸収する水回りなど、病室は結核患者の治療に配慮したつくりです。すべての家具や照明を、アアルトがデザインしました。©Hayato Wakabayashi

『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』

開催期間:2019年2月16日(土)~4月14日(日)
開催場所:東京ステーションギャラリー
東京都千代田区丸の内1-9-1
TEL:03-3212-2485
開館時間:10時~18時(金曜は20時まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(4月8日は開館)
入場料:一般¥1,200(税込)
www.ejrcf.or.jp/gallery

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