目黒区美術館にやってくる、ジョージ・ネルソンってどんな人?

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    ハーマンミラー社の広告“旅行者たち”のためにポーズをとるジョージ・ネルソン(1954年頃) George Nelson posing for a Herman Miller advert "Traveling Men", ca.1954 Photo: Vitra Design Museum Archive

    マシュマロ・ソファやプラットフォーム・ベンチなど多くの名作を残したデザイナー、ジョージ・ネルソン。戦後のアメリカ・デザインを確立したひとりと評価も高いですが、実はデザイナーとして評価されているだけではありません。20世紀のデザイン・アイコンと名高い、チャールズ&レイ・イームズ夫妻の椅子やイサム・ノグチのテーブルなどの名作が生まれた背景には、ネルソンの存在があるのです。
    アメリカのハーマンミラー社で25年にもわたってデザインディレクターを務めたジョージ・ネルソン。いまでこそデザインディレクターという役職はよく耳にしますが、彼の存在はこうした時勢にさきがけたものです。自らもデザイナーながら、当時無名であったイームズ夫妻を起用。さらに美しく、洒落のきいたグラフィックによって、ユーザーへと思いを伝えた広告手法も、彼がディレクションしたものです。
    そもそもネルソンはいくつもの顔をもつ存在。イェール大学で建築の学位をとり、ローマへ留学、そこでコルビュジエらのインタビューを行い、建築雑誌の編集長などを務めました。彼が制作した記事を見たハーマンミラーの創業者D.J. デプリーは、ネルソンにデザインディレクターを依頼。ここから、戦後のアメリカ・デザインの1ページが始まったといえます。
    今展は、ヴィトラ・デザイン・ミュージアム所蔵のジョージ・ネルソン関連コレクションを中心に、家具やプロダクト、模型や映像など約300 点で構成。編集力に長け、次なる時代を描く先進的なヴィジョンをもっていたネルソン。編集者、デザイナー、そしてデザインディレクター。その業績はひとことで語れるものではありません。ボリュームたっぷりの展示を見て、アメリカの20世紀をつくった男の業績に触れてください。(Pen編集部)

    デザインアイコンとしても有名なマシュマロ・ソファ(1956年)もネルソンによるもの。 Marshmallow Sofa, 1956 Photo: Vitra

    システム化した収納をいち早く提案。CSS(1959年) Comprehensive Storage System, 1959 Photo: Vitra Design Museum Archive

    『ジョージ・ネルソン展―建築家、ライター、デザイナー、教育者』
    7月15日(火)~9月18日(木)

    目黒区美術館
    東京都目黒区目黒2-4-36
    TEL:03-3714-1201
    開館時間:午前10 時~午後6 時(入館は午後5 時30 分まで)
    休館:月曜(ただし7/21、9/15は開館、翌日休館)
    入館料:一般¥1,000、大高生・65 歳以上¥800
    www.mmat.jp