3組のクリエイターが挑んだ、フランク・ロイド・ライトの名作照明「タリアセン」のオマージュ展が必見です。

  • 文:山田泰巨

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自らのスタジオで「タリアセン」の設計業務に勤しむフランク・ロイド・ライト(1867-1959)。Photo: OBMA® F.L.Wright Fdn.

ル・コルビュジエやミース・ファン・デル・ローエにも影響を与え、彼らとともに20世紀を代表する3大建築家のひとりとして知られるフランク・ロイド・ライト。その生誕150周年を記念し、彼が手がけた照明「タリアセン」の特別モデルが登場。天王洲のアートスペース、T-ART HALLで2017年11月26日(日)まで『フランク・ロイド・ライトへのオマージュ』として展示されています。

ライトは1913年に来日。旧帝国ホテルを設計したことでよく知られています。また、滞在時に浮世絵を収集するなど、日本文化から大きな影響を受けました。70歳を超えて発表した落水邸やジョンソンワックス社、そして死後に完成したグッゲンハイム美術館などは、名作としていまなお高く評価されています。

タリアセンは、1933年にライトが改装を担当したヒルサイド・ホーム・スクールの体育館用のペンダント型照明、タリアセン2を原型としたシリーズ。四角いボックス内に照明を収め、木の遮光板によって光の多様な表情を見せるこのシリーズは、さまざまなサイズで展開されました。晩年になり、ライトは再び高い評価を受けますが、その助走となったデザイン、というのは言い過ぎでしょうか。

今回の展示では、タリアセンの特別記念モデルとして、建築家の坂 茂、インテリアデザイナーの橋本夕紀夫、グラフィックデザイナーのグルーヴィジョンズという3組のクリエイターとコラボレーション。彼らが手がけたスペシャルなタリアセンがお目見えします。現代の視座を得た、新たな照明のかたちをぜひ会場で目の当たりにしてください。

グルーヴィジョンズの作品「GRV2917」。ライトが木を抽象化させ、立体作品に仕上げたタリアセンをグラフィックデザインの視点で再び具象に近づけました。

橋下夕紀夫の作品「TALIESIN-J」は、日本を愛したライトの世界観をより深く表現しようとした作品。会津桐と金沢箔という、日本をより強く感じさせる素材で、新たなタリアセンが生まれました。 協力:住友林業 駒沢モデルハウス

坂 茂による「PAPER TALIESIN」。「ライトは尊敬する建築家のひとり。オリジナルへの敬意と自分らしい表現を込め、紙管で再構築を行うことで純粋なライトへのオマージュを目指しました」と坂。 協力:Vin Sante!

『フランク・ロイド・ライトへのオマージュ』

開催期間:2017年11月23日(木)〜11月26日(日)
開催場所:T-ART HALL
東京都品川区東品川2-6-10
TEL:03-6741-2300
開催時間:11時〜20時
会期中無休 
会期中入場無料