『世界報道写真展2018』で直面する“事実”に、あなたはどう向き合いますか?

『世界報道写真展2018』で直面する“事実”に、あなたはどう向き合いますか?

文:Pen編集部

「世界報道写真大賞」に選出された「スポットニュースの部 単写真」 ロナルド・シュミット(ベネズエラ、AFP通信)2017年5月3日、ベネズエラの都市カラカスで撮影。マドゥロ大統領への抗議デモ中、警備隊との衝突で火だるまになった男性。全身にやけどを負いましたが、着用していたガスマスクの助けもあり、一命を取り留めました。

ニュースや新聞、インターネットで日々報道される世界情勢や事件、自然破壊……。東京都写真美術館で開催されている『世界報道写真展2018』は、私たちにさまざまな問題を提起してくれます。

この展覧会は、アムステルダムの世界報道写真財団が主催する「世界報道写真コンテスト」の受賞作発表の場です。今年で61回を数え、応募作品を人種、文化、宗教、地域を異にする十数名の審査員が審査。今年は「スポットニュース」「現代社会の問題」「環境」「一般ニュース」「長期取材」「自然」「人々」「スポーツ」の8部門で、22カ国42人の受賞者が選出され、その中から「世界報道写真大賞」が選ばれました。

大賞に輝いたのは、「スポットニュースの部 単写真」のロナルド・シュミット。2017年5月3日、ベネズエラの首都カラカスでのマドゥロ大統領に対するデモ抗議中、国家警備隊との衝突によって全身火だるまになった男性が走り去る様子を捉えた一枚です。ギャラリートークに訪れていた、世界報道写真財団の展示部長のラウレンス・コルトウェーグは「火炎の凄まじさや、逃げ去る男性の疾走感が鮮烈な印象を残します。また、背景のれんが塀に書かれた「PAZ(=平和)」の文字がとても示唆的です」と、選考理由を語りました。

極貧の中、いつ撤去されてもおかしくない水上のバラックに暮らす人々や、密猟によって生命を奪われる動物――。それぞれの写真は、世界のどこかで起きている事実を提示しています。情報があふれかえる現代だからこそ、切り取られたその一瞬から目が離せなくなる。単なる記録にとどまらない、報道写真が伝える”事実”の力強さに圧倒される展覧会です。

「現代社会の問題の部 単写真」ジェスコ・デンゼル(ドイツ)、2017年2月24日、ナイジェリアの都市ラゴスで撮影。水上に浮かぶスラム「マココ」は、違法居住するしかない貧しい人々のバラックが軒を連ねています。

「環境の部 単写真」ニール・アルドリッジ(南アフリカ)、2017年9月21日、ボツワナで撮影。保護のために南アフリカからボツワナのオカバンゴデルタに移される白サイ。脱法薬物として珍重されるサイの角を目的とした密猟が、後を絶たちません。

『世界報道写真展2018』
開催期間:2018年6月9日(土)〜8月5日(日)
開催場所:東京都写真美術館
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
TEL:03-3280-0099
開館時間:10時~18時(木・金は20時まで、7月19日、20日、26日、27日、8月2日、3日は21時まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月 ※祝日の場合は開館、翌火曜が休館。
入場料:一般¥800

https://topmuseum.jp

以降、下記会場を巡覧予定。

大阪:2018年8月7日(火)~8月16日(木)ハービスHALL

大分:2018年9月16日(日)~10月3日(水)立命館アジア太平洋大学

京都:2018年10月6日(土)~10月28日(日)立命館大学国際平和ミュージアム中野記念ホール

滋賀:2018年10月30日(火)~11月11日(日)立命館大学びわこ・くさつキャンパスエポックホール

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