『ル・コルビュジエ/チャンディガール展 ―創造とコンテクスト―』で、理想の都市が構築されていくダイナミズムを体感しよう。

  • 文:Pen編集部

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ヒマラヤ山脈に抱かれるように開けた都市「チャンディガール」のラフスケッチ。ル・コルビュジエ 『(妻)イヴォンヌ宛のル・コルビュジエの手紙に添えられたチャンディガールの首都誕生のデッサン』1951年2月26~28日 所蔵:ル・コルビュジエ財団

理想の都市とは、いかにつくられるものなのでしょうか? 天王洲の建築倉庫ミュージアムで開催されている『ル・コルビュジエ/チャンディガール展 ―創造とコンテクスト―』は、そんな問いをひも解く手がかりになります。

1947年にイギリスから独立したインド。初代首相・ネルーは、自由を象徴する都市を築き上げようと、モダニズムの巨匠ル・コルビュジエに設計を依頼しました。ル・コルビュジエは、戦前から構想していた都市計画を実現させるべく、完成に至るまで20回以上にわたり現地に渡航。ヨーロッパとはまったく異なる文化や気候に影響を受けながら、風土に寄り添う美しい都市・チャンディガールをつくりあげました。

展示は設計図面に始まり、メモや手紙、直筆の油彩画や詩画集など、ル・コルビュジエがインドから受けた影響を感じさせるものも並びます。会場の床は都市主要部の縮小地図になっており、彼の手がけた行政機関、司法機関などの庁舎群「キャピトル・コンプレックス」の建築模型が設置されています。彼がどのような意図で建物を配置したのか、立体感をもって観察できるのです。また、写真家のホンマタカシが2013年に撮影した写真や映像は、高温多湿な環境に、建築がどのように対応しているのかを、臨場感とともに伝えてくれます。

ル・コルビュジエが建築家として目指した理想の都市計画は、成熟した都市でなにげなく暮らしている私たちに、さまざまな発見をもたらしてくれるでしょう。彼のイメージの源から、その実現までをも体感できる展覧会を、お見逃しなく。

ル・コルビュジエ『110平米の住宅の気候条件への適応のスタディ』1952年1月18日 所蔵:ル・コルビュジエ財団

ル・コルビュジエ『水盤に面したファサードの透視図、人物、植栽、《開かれた手》付』1952年3月4日 所蔵:ル・コルビュジエ財団

画家としてもすぐれた作品を残したル・コルビュジエ。エスニックなモチーフはインドから影響を受けたもの。ル・コルビュジエ『牡牛ⅩⅧ』1959年 所蔵:大成建設

『ル・コルビュジエ/チャンディガール展 ―創造とコンテクスト―』
開催期間:2018年5月26日(土)~7月16日(月・祝)
開催場所:建築倉庫ミュージアム
東京都品川区東品川 2-6-10
TEL: 03-5769-2133
開場時間:11時〜19時 ※入館は閉館の1時間前まで
休館日:月 ※祝日の場合、翌火曜休館
入館料:一般¥3,000(税込)

https://archi-depot.com/exhibition/le-corbusier_chandigarh