テレワークと住まいに対する意識を徹底調査。コロナ禍がもたらした働き方の変化とは?

  • 編集&文:久保寺潤子

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リクルート住まいカンパニー(SUUMO)が昨年11月と今年4月に行った働き方と住まいの意識調査を紹介。コロナ禍によってどんな変化があったのだろうか。


【テレワーク実施率】会社員・公務員のテレワークは昨年の2.8倍。

昨年11月と比べて今年4月時点でのテレワーク実施率はおよそ2.8倍に増加。コロナ禍によって会社から半ば強制的に自宅待機を余儀なくされたケースも多いが、今後日本の会社の勤務体制は変革を迫られるだろう。ちなみに今回の調査は、もともと在宅勤務を基本とするフリーランスは対象とせず、会社員・公務員に限って行われた。


【職種別テレワーク実施率】事務系も大幅アップ、すべての職種で増加傾向に。

すべての職種で増加傾向がみられた。企画・マーケティング、ウェブ・クリエイティブ系、営業、エンジニアなど、職場に行かず実施可能な職種での割合が高い結果に。事務・経理・総務・人事や公務員のように、捺印するために出社が必要といった業種も在宅率が大幅アップ。医療やサービス業は全体としては少ないが、昨年比ではほぼ倍増となった。


【テレワーク実施時間割合】仕事の9割をテレワークにした人が多数。

昨年は10%未満がトップだったのに対し、今年最も多かった回答が90%以上。ただし半強制的に自宅待機した人も多く、家でフルに仕事ができていたかは不明だ。取引先に出向くのが礼儀とされていた営業職などは、オンライン化で双方の意識が変わり始めた。一方、10%未満にとどまったのはサービス・販売・外食系従事者が多くを占める。


【コロナ禍でのテレワーク実態の変化】家庭の状況に応じて、段階的に在宅を開始。

テレワークを始めたタイミングは大きく分けて、学校が休校となったことで多くの会社がテレワークを認めた3月と、政府の緊急事態宣言が発令された4月。休校宣言を受けて、子どもをもつ共働きの人が先んじて実施したケースが多い。開始時期の内訳は3月が26%、4月が57%と段階を経て在宅勤務へ移行した会社が多かった。


【テレワーク実施場所】外に出られず、個室も少ないのでダイニングに集中。

ダイニングテーブルで実施する人が全体で55%と、昨年調査時に続き最も多く、家族構成では6歳以下の子どもと同居する既婚者が7割を占める。また昨年は自宅以外のカフェやサテライトオフィスで実施する人がそれぞれ12%、6%いたが、今回は2%、1%に減少。最近はソーシャルディスタンスを保ったカフェに客足が戻りつつある。

【テレワークに関する不満】オンオフの切り替えと スペースの確保が 切実な問題。

不満・不便を感じる項目として最も高いのが、オンオフの切り替えがしづらいというもの。首都圏で所帯をもつと、書斎を確保できる人は少なく、家族がいるなかでの仕事はメリハリがつけにくい。一方、独身者は狭いスペースにローテーブルで作業をしたり、プリンターなどの備品がないなど、こちらも仕事環境としては十分とはいえない。


【今後の自宅環境整備意向】緊急事態により、自宅整備には慎重派が多い!?

昨年の調査はもともとテレワークを実践している人に対して行ったもので、会社が推奨していたり自ら率先して行っていたため、環境整備にも意欲的。今年はコロナ禍という特殊な状況下でのテレワークであり、先が見えないなか自費を投じて環境を整えるべきか躊躇しているのが読み取れる。整備への消費金額も今年は1万円未満が45%と主流。


【オンライン会議実施場所】リビング、書斎から風呂場まで、遮音性がカギ。

オンライン会議の実施場所としてはリビングが44%と最も多く、続いて書斎が17%。割合は少ないものの、子ども部屋、風呂場、トイレなどで実施していることも明らかになった。しかし家族の共有スペースであるリビングは占有できないため問題が多く、狭くても遮音性のある個室の需要が高まっている。


【オンライン/テレビ会議実施時の服装】オンライン、顔出しナシならパジャマでも!?

最も多いのは休日仕様のカジュアルウエア。パジャマ・ルームウエアは、画面に顔を映さないことを前提にしている人が多いと思われる。外に出かけるときは身なりを整えるが、家ではオフモードに、とはっきり使い分けている人も多い。また場所がなくベッドで仕事をする人もおり、環境と服装はリンクしている。


【今後のテレワーク継続意向】30~50%の割合で継続したい人が多数。

継続したいと感じている人は全体で84%だが、内訳をみると30~50%が最も多く、これは週に2、3日の割合。集中したいときは自宅で作業し、会議でディスカッションしたり大量コピーをするときは出勤するなど、メリハリのある仕事の仕方を希望する人が増えた。また週2、3日の出勤であれば郊外に一軒家をもつ選択肢を視野に入れる人も。


出典:「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」調査/SUUMO調べ
調査対象:【スクリーニング調査】20歳~64歳の男女。地域は東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県居住者。職業は会社員(経営者・役員、正社員、契約社員、派遣社員)、公務員のいずれか。
調査時期:2020年4月17日~20日
有効回答数:9,570サンプル(スクリーニング)1,390サンプル(本調査) ※いずれも途中離脱回答者は除外。