その名も「振興三倍券」で、台湾に国内旅行ブームが到来。【コロナと闘う世界の都市から】

  • 文:近藤弥生子

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TAIPEI台北

その名も「振興三倍券」で、台湾に国内旅行ブームが到来。【コロナと闘う世界の都市から】

文:近藤弥生子

3,000ニュー台湾ドル(約12,000円)分のチケットを1/3の価格で購入できる政府発行の「振興三倍券」。

新型コロナウイルスの抑え込みに成功した台湾では、経済的ダメージを早期回復するため「振興三倍券」というチケットを発行し始めた。国民はひとり当たり1,000ニュー台湾ドル(約4,000円)の負担で、3,000ニュー台湾ドル(約12,000円)の消費ができるチケットを購入できる。使用期限は2020年年末まで。紙のチケットのほか、クレジットカードやモバイル決済、ICカードでの受け取りも可能だ。この施策には、いまや時の人となった台湾のデジタル大臣、オードリー・タンも参画している。

消費者の多くが振興三倍券の使い道を考え始めたいま、大企業から街の小さな商店までがさまざまな優待を打ち出し始めた。筆者も早速入手したチケットの一部を使い、台北市内の五つ星ホテル、グランドメイフルホテル台北に家族で宿泊した。

世界各地の感染状況が落ち着かないため、台湾では現在も海外からの旅行客を受け入れておらず、国外への旅行もできない状況にあり、旅行業者は苦境に立たされている。そんな旅行業界を救済すべく、振興三倍券以外にも国内旅行向けにひとり一泊あたり1000元(約4000円)の宿泊補助も開始。離島や大自然が美しい東部などは、既に予約がしづらい状況だ。国内の観光地は、ちょっとした特需のようになっている。

グランドメイフルホテル台北の室内の様子。振興3倍券を使うと、部屋のアップグレードまたは子ども用の玩具プレゼントの特典が付く。写真提供:グランドメイフルホテル台北

※1元(ニュー台湾ドル)=約4円(2020年7月現在)