ウェブ会議の画面だけでつくった、英BBCの“前例のない...
LONDON ロンドン

ウェブ会議の画面だけでつくった、英BBCの“前例のない”ドラマが話題。【コロナと闘う世界の都市から】

文:宮田華子

シリーズの1話「Grounded(外出禁止)」(ダンカン・マクミラン脚本)のシーンより。「外出ができないなら、自宅に人を呼べばいい」と考えるダメ親と、新型コロナウイルスの怖さを必死に訴える娘とのコントラストが笑えるコメディ。画像はBBCの配信サービス、BBC iPlayerのキャプチャー画面。© 2020 BBC/Headlong and Century Films

世界中でテレビドラマや映画の撮影がストップする中、ロックダウン開始後に制作されたBBCのドラマ「Unprecedented(前例のない)」が話題だ。14人の脚本家が、1話約10分間のドラマでコロナ禍の日常を描いている。全14作品に共通するのは、ZOOMなどのウェブ会議ツール画面越しの会話劇であること。いまや見慣れた“分割画面”だけのドラマが面白いのだろうか?と半信半疑で見てみたのだが、クスッと笑えるコメディからぞっとするサスペンスまで、こんなにも多岐にわたる表現が可能なのかと驚き、全話を一気見してしまった。

たとえば「Penny(ペニー)」という作品は、ホームレスの男性がコロナ禍の特別措置で提供されたホテルで、ペニーという名の“誰か”に必死に語りかけるひとり語り。最後に“誰か”が路上生活ををともにした愛犬であることが分かる。「Safer(より安全な場所)」は、息子夫婦とその母とのなに気ない会話から始まるが、次第に息子がDV夫であったことが分かり、母は義娘の救出に動き出す。「Grounded(外出禁止)」は、コロナ禍のルールをまったく解せず朗らかに暮らす両親に、心配する娘が涙ながらに「ルールを守って」と訴え続ける爆笑コメディだ。

ロックダウンは、格差、貧困、DV、教育、医療などイギリスのもつさまざまな問題を浮き彫りにした。これらの作品はそうした問題を批判的な眼差しで見つめつつ、笑いや恐怖のひねりを利かせたドラマに仕立てている。コロナ禍のストレスや怒り、悩みを登場人物が代弁してくれており、そこに視聴者が共感できるのも人気の理由だろう。

制作は完全リモートで行い、リハーサルもすべてZOOMを使用。小道具や衣装、照明は俳優自らが担当し、撮影はウェブ会議画面を使用して行われた。有名俳優も多数出演しており、彼らの私生活や自宅のインテリアが見られるというおまけ付きだ。

ウェブ会議の画面だけでつくった、英BBCの“前例のない...

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