HIGASHIYAのデザイナーがプラントアーティストと挑んだ、“新しい花の形”が1冊の美しい本に。

  • 文:外川ゆい

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「八雲茶寮」と「HIGASHI-YAMA Tokyo」の他、全国の書店にて発売中です。

スタイリッシュなパッケージで知られる和菓子店「HIGASHIYA」のクリエイティブ・ディレクター緒方慎一郎と、プラントアーティストの川本諭がコラボレーションした二人展『拈華』。2016年4月に開催されたこの展覧会では、緒方が亭主を務める都立大学の料理店「八雲茶寮」を舞台に、緒方が器を選び、川本が花を生けました。日本の伝統を大切にしながら、食などを通して新たな表現を試みる緒方が、川本とともに挑んだ、生け花でもフラワーアレンジメントでもない、現代における新しい花の表現です。その展覧会の記録を写真に収めてまとめた1冊『拈華-nenge-』が発売され、話題を呼んでいます。

タイトルの「拈華(ねんげ)」は、「拈華微笑(ねんげみしょう)」の故事より引用されたもの。霊鷲山で説法をした釈迦が、花を拈って大衆に示したところ、摩訶迦葉だけがその意を悟って微笑し、仏教の真理が無言のうちに伝授されたという話で、以心伝心で法を体得する妙を示します。

およそ200ページからなる本書は、右開きと左開き、どちらからでもめくることができるつくりになっていることにも注目。読むことはもちろん、花を飾るように、部屋に置いておくだけでも美しい一冊です。ふたりの問答が伝わってくるような創造的な作品の数々を、ぜひ手に取って楽しんでみてください。

『拈華 - nenge -』

著者:緒方慎一郎・川本 諭
写真:池田裕一・小松原英介
アートディレクション:緒方慎一郎
価格:¥4,320(税込)
発行:青幻舎
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