世代を超えて民藝の精神を受け継ぐ師弟──「柴田雅章と3人の弟子たち展」が開催

  • 文:上村真徹

Share:

日本六古窯のひとつである丹波焼に基づいた「スリップウェア」の第一人者として知られる陶芸家・柴田雅章。そして、その門下として修業を積んだ七尾佳洋、栗田荘平、大塚誠一。この4人の作家による初の師弟展『柴田雅章と3人の弟子たち展』が、東京・新宿のビームス ジャパンと兵庫のビームス 神戸でそれぞれ開催される。

スリップウエアとはイギリスの伝統的な陶器の一種で、スリップと呼ばれる化粧土で器の表面を装飾する、独特の制作工程が特徴だ。その技を礎に丹波篠山の土と登り窯を用いて作陶を続ける柴田の教えが、3人の弟子へと継承された。表情豊かで落ち着いた色合いの器が持ち味な七尾。丹波という土地に根ざしながら、日々の暮らしに寄り添う器を中心に作っている栗田。伝統を踏まえた味わいのある作品が多い大塚。それぞれ師匠の亜流に陥ることなく、独自の作風へと昇華させ、いまも民藝の新たな未来を切り開いている。

今回の展覧会では、師弟4人が手がけた民藝の精神を受け継ぐ大小さまざまな器が集められた。それぞれ個性の異なる作風の中に共通して存在する美意識を、この機会にぜひ感じ取ってほしい。

柴田雅章(しばた・まさあき)●1948年、東京都生まれ小田原育ち。丹波の生田和孝に4年間師事して受けた民藝の教えを、イギリスのスリップウエアの技法と独自に融合。七尾佳洋、栗田荘平、大塚誠一の弟子3人を育てた。

「柴田雅章と3人の弟子たち展」

開催期間:
ビームス ジャパン(5F fennica STUDIO) 2021年4月29日(木)~5月9日(日) 
ビームス 神戸 2021年5月22日(土)~5月30日(日)
https://www.beams.co.jp/special/fennica_things/vol8/