世界の映画祭でも絶賛、映画『オーバー・ザ・ブルースカイ』が描く生と死と愛との分かれ方。

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    アメリカに憧れるカントリー歌手の男と、愛する男たちの名前を身体に彫っては消すを続けるタトゥー彫師の女。自由奔放に生きてきたふたりの男女が、ある日恋に堕ちます。後に娘を授かりますが、小児ガンで娘は幼い命を失ってしまうのです。この物語は、そんな家族のエピソードを軸に「死」について描きます。誰にでも訪れる死。それは必ずしも年を取ってから訪れるとは限りません。ある人は幼いままに、ある人は予想もしなかったときに、死を迎えます。その方法も、必ずしも予想していたものではありません。そして、その立ち位置がどんなものであっても、死とは愛する人と引き裂かれることを意味します。

    出会い、胸をときめかせ、笑顔をわかちあい、感情をぶつけ合うことを重ねて男と女から家族へと変化していくふたり。幸せが永遠に続くと信じていたふたりを導く一刻一刻を、時に甘く、楽しく、そして時に悲しく、激しく、カントリーソングが代弁し、見るものの感情をかき立てます。

    死を考えることとは、生きることを考えることで、愛しい人とどんな最後の瞬間を送れるかということは、誰にも予期できないこと。そんなことを思い知らされながら、この映画を見終わったときに、スクリーンに映された以上の何かが胸を占めている、そんな素晴らしい作品です。(Pen編集部)

    本国のベルギーでは30人にひとりが見たという異例の大ヒットを記録。フランスでは10万人を動員。ベルリン国際映画祭映画祭観客賞第一位、トライベッカ映画祭(ニューヨーク)国際長編部門主演女優賞、脚本賞受賞など、世界の映画祭でも絶賛された作品です。

    『オーバー・ザ・ブルースカイ』

    監督:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン
    出演:ヨハン・ヘルデンベルグ、ヴェルル・バーテンス
    2012年 ベルギー・オランダ映画 1時間51分
    配給:エスパース・サロウ
    3月22日から、ユーロスペース2にて公開中。