逃げ場所はどこにもない。絶体絶命の連続にハラハラする『クーデター』

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    ジャックは妻アニーと2人の幼い娘とともに、暴徒から逃げまくります。

    出張や旅行で国外の空港に到着した時、「日本とは違うんだ」と気を引き締める一方で、違うことをたくさん体験したいとワクワクした気持ちにもなります。そんな緊張も期待も、訪れる先で基本的な安全が確保されているという前提あってこそ。ところが、安全だと思っていた場所が一夜にして危険きわまりない場所になってしまったら……。考えるだけでゾッとしてしまいます。でも、21世紀になってからもいくつかの国でクーデターや革命が起こっていることを考えると、ゾンビに襲われるよりもリアリティがあります。


    妻アニー(レイク・ベル)と2人の娘とともに、東南アジアのとある国に赴任することになったジャック(オーウェン・ウィルソン)。到着翌日の朝、テレビやインターネットが遮断されていることを不審に思ったジャックがホテルの外に出ると、目の前で軍隊と暴徒の衝突が勃発します。命からがらホテルへ戻り家族と合流するのですが、暴徒たちは外国人を標的にしており、ジャックたちのホテルを包囲します。なんらかの事情で治安は崩壊していて、ホテルへなだれ込んでくるのは大量の暴徒たち。本作の原題どおり、“No Escape”な状況で、物語は始まります。


    繰り返しやってくる絶体絶命の状況の、怖いこと怖いこと! 武装した暴徒に対し、丸腰のジャックが取れる行動といえば「逃げる」こと。ひたすら逃げることが、リアリティある恐怖をもたらします(映画ですから、そりゃ無茶でしょうという部分ももちろんありますけれど)。そして、1つの危機をくぐり抜けても、追っ手は街じゅう・国じゅうにいるという絶望的な状況が、怖さを増幅させるのです。


    夏の海外旅行と重ね合わせながら観ると、冷や汗も2倍になると思います!(Pen編集部)

    武装した暴徒が標的にするのはジャックら外国人。街じゅうにいる追っ手が、じわりじわりとジャックたちを追い詰めます。

    ジャックが空港で出会う、ハモンドと名乗る怪しい男(ピアース・ブロスナン)。いい味を出しています。

    『クーデター』


    監督/ジョン・エリック・ドゥードル
    出演/オーウェン・ウィルソン、レイク・ベル、ピアース・ブロスナンほか
    2015年 アメリカ映画 1時間43分
    配給/クロックワークス
    9月5日より、新宿バルト9ほかにて公開中
    http://coup-movie.com

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