いま気になるテーマのひとつが「移動生活」。東京、軽井沢、福井の3拠点で自ら実践する。

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    29佐々木俊尚ジャーナリスト

    いま気になるテーマのひとつが「移動生活」。東京、軽井沢、福井の3拠点で自ら実践する。

    各界で活躍する方々に、それぞれのオンとオフ、よい時間の過ごし方などについて聞く連載「MY Relax Time」。第29回は、フリージャーナリストの佐々木俊尚さんです。テクノロジーをベースに、今後の社会がどのように変容していくのかについて展望することをライフワークとし、IT分野を中心に政治、経済、社会、文化や食まで、幅広いジャンルで執筆、発信を行っている佐々木さん。最近は、東京、軽井沢、福井の3拠点生活も実践されています。

    写真:殿村誠士 構成:和田達彦

    佐々木俊尚(ささき・としなお)●1961年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退後、毎日新聞記者、月刊アスキー編集部デスクを経て、2003年からフリージャーナリストとして独立。2011年、『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァートェウンティワン)で大川出版賞を受賞。『キュレーションの時代』(ちくま新書)、『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『そして、暮らしは共同体になる。』(アノニマ・スタジオ)、『時間とテクノロジー』(光文社)など著書多数。

    仕事の中では原稿を書いている時間がいちばん好きですね。書き出すと、発想がどんどん勝手に羽ばたいていく。それをひたすら文字に落としていく作業が楽しい。出版社からテーマを提案されることもありますが、たいていは当初の企画と変わってしまうので、目論見通りの本を書いてくれない人という扱いになっています(笑)。私はかつて新聞記者として「取材して第三者の目線で書く」ということをずっとやっていたわけですが、東日本大震災の時に「これだけ当事者がすごい勢いで発信している中で、わざわざ第三者が行って知ったようなことを書く意味があるのか」という思いを抱きました。それ以来、自分が体験したことをベースにして書くというスタイルもありえるんじゃないかと自分のなかでジャーナリズムの再定義をした。東京、軽井沢、福井の3拠点生活をしているのは、いま関心があるテーマのひとつに移動生活があるから。これからの時代は移動生活が社会の中心になるのではと、という仮説を実践することで確かめています。

    オフの日の過ごし方といえば、山登りかな。登山歴はもう40年ぐらいになります。山仲間のグループがあるので、希望者を募って月に1回あちこちの山に行く。山登りといっても、最近は山頂を目指すというよりは、ロングトレイルに近いものを楽しんでいます。また日常の気分転換法は、スポーツジムに行くことですね。毎朝6時半から7時ごろに起きて、コーヒーを飲み、歯磨きしてから家から歩いて10分ほどの所にあるジムに行く。まずランニングマシンで5km走ってから、筋トレ、スクワット。それからシャワーを浴びて、たまにサウナに入る。トータルで1時間半ほどですね。そして「あぁ終わった」と思いながらジムの外に出て家に帰るまでの10分間が、1日のなかで最も幸せな時間です。前日の面倒くさい仕事のやりとりなど、心身の中に澱のように残っているものがすべて一掃された気分になるんです。

    たばこは30代までは吸っていましたが、脳腫瘍を患い、3カ月入院した際に自然とやめました。非喫煙者となってからも、人のたばこはあまり気にならないほうですね。いまは喫煙所以外の場所で吸っている人もほとんどいませんし。昔の映画のように気持ちよさそうにスパスパたばこを吸っている姿も見られなくなりましたね。

    ひと仕事した後の一服は、ある意味健全な行為。大事なのはQOLであって、本人のリスク感覚は人にとやかく言われるものではないと思います。たばこを吸える場所はどんどん減っていますが、吸いたい人が吸える場所をなくす必要があるのかは疑問です。無制限にすればよいとは言いませんが、抑圧しすぎてもよくない。社会からマイノリティを排除してクリーンにしようとするのは危険な感覚で、ある程度共有するのが成熟した大人の社会なんだと思います。

    問い合わせ先/JT

    www.jti.co.jp