求められるもの・自分のつくりたいものを作る、
“町工場”を運営しているような感覚。

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    27ふかわりょうタレント

    求められるもの・自分のつくりたいものを作る、
    “町工場”を運営しているような感覚。

    各界で活躍する方々に、それぞれのオンとオフ、よい時間の過ごし方などについて聞く連載「MY Relax Time」。第27回は、「5時に夢中!」(TOKYO MX)のMCや「ひるおび!」(TBS)のコメンテーターを務める一方で、ミュージシャン、エッセイストなどとして幅広いジャンルで活躍されているふかわりょうさんです。

    写真:殿村誠士 構成:和田達彦

    ふかわりょう●1974年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学在学中の94年にお笑い芸人としてデビュー。「小心者克服講座」でブレイク後、「シュールの貴公子」から「いじられ芸人」を経て、現在はTV番組のMCやコメンテーターを務める。一方98年からROCKETMANとして音楽活動を始め、クラブDJの傍らアルバムのリリースや楽曲提供を行う。近著に『世の中と足並みがそろわない』(新潮社)

    いまの仕事は、MCやコメンテーターとして自分に求められている役割、商品価値を提供するものもあれば、音楽や文章など自分濃度の高いものまでさまざま。自分としては、町工場を運営しているような感覚です。発注された製品を日々つくりつつ、自分のつくりたいものは自分のペースで稼働するという感じですね。メディアに出る際には明らかにオンモードになりますが、最近はテレビやラジオでテンションを上げることを求められなくなっているので、オンとオフの差は以前ほど大きくないですね。逆に家にいるからオフというわけでもないので、グラデーションになっています。だから工場はほぼ年中無休の24時間営業。でも、大変と感じない仕事を選んできたので苦痛には感じませんし、むしろ工場を常に動かしていないと不安定になる。継続していることが安定につながっていると思います。

    普段、移動のほとんどは自分のクルマで行っています。ハンドルを握って、景色が流れていくなかで好きな曲を聴いていると、リラックスできたり、反対に気持ちを高めたりできます。またどんな言葉も疲れちゃうような時は、無心でキーボードを弾きます。自宅に地下室があって、そこにキーボードとPCだけ置いて音楽部屋にしているんですよ。作曲というほどでもなく、子どもがクレヨンで落書きするように、ただ音と戯れている感じなのですが、そうすると理屈から解放されて、気持ちのバランスが取れます。オンオフの境界が曖昧なので、完全なオフにするには旅行など意図的に機会をつくらないと無理ですね。海外が理想ですが、国内なら温泉。湯船につかってぼーっとしていると、スノードームの舞っている雪が全部沈殿していくように、頭の中が整理されていく気がします。

    たばこは失恋をきっかけに二十歳から吸い始めて(笑)、10年経った30歳の時にちょうどいい一区切りだと思ってやめました。いまは吸いたいという気持ちはないのですが、食事や温泉に入った後など、このタイミングで吸ったらおいしいだろうなと感じることはあります。また僕は映画『コーヒー&シガレッツ』の世界観がすごく好きで、時々観てはたばこを吸った気分になっています。情緒的な観点になりますが、タバコはひと時を享受するためのツールのようにも感じます。例えばおしゃれなラウンジの空間を、タバコを通して味わうとか、コーヒーを飲んで味わうとか。 タバコに限らず、何事も、無駄か無駄じゃないかという尺度だけで捉えるのは危険。無駄があるからこそ生まれるものもあると思っています。 

    ふかわりょう著『世の中と足並みがそろわない』(新潮社)

    問い合わせ先/JT

    www.jti.co.jp