90年代カルチャーを経由した大人たちへ! 『ビーマイベイビー 信藤三雄...

90年代カルチャーを経由した大人たちへ! 『ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ』展で懐かしさに身悶えしよう。

文:阿部博子

サザンオールスターズ『海のYeah!』(ビクターエンターテインメント)1998年

巷では、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』の影響もあって、1980年代カルチャーが再評価され、当時聴いた音楽を耳にして、懐かしさに身悶える人が続出しているとか。そんな人たちをさらに増殖させてしまいそうな展覧会『ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ』が、2018年9月17日まで世田谷文学館で開催されています。

信藤三雄といえば、松任谷由実、フリッパーズギター、ピチカートファイヴ、サザンオールスターズ、Mr.Children、MISIAなど、日本の音楽シーンをリードしてきた数多くのミュージシャンのCDジャケットを手がけ、鮮烈なヴィジュアルイメージと革新的なプロダクトを生み出してきた伝説的なアートディレクター。写真家、映像ディレクター、書家、音楽家という顔をもつ信藤の作品は、各方面のクリエイターにも影響を与えています。

会場には、80年代の初期作品から最新の仕事にいたるアートワークが1000点以上展示されています。会場デザインは、コーネリアスや水曜日のカンパネラなど数々のコンサートの舞台美術を手がけてきた、建築家の遠藤治郎が担当。一歩足を踏み入れると、ピチカートファイヴやコーネリアスらの巨大ジャケットビジュアルが、目に飛び込んできます。信藤の手がけてきたCDジャケットとポスターが張り巡らされた壁面そのものが、アートワークのようです。20年以上前に手がけた作品も、いま見ても色褪せることなく、むしろ新鮮に映ります。その時代を生きたミュージシャンと彼らの音楽から受け取ったインスピレーションが、信藤の感性と融合し、写真やタイポグラフィとして作品に宿っているからなのでしょう。会場にあふれる膨大なビジュアルに囲まれていると、90年代にピチカートファイヴやフリッパーズギターに夢中になった人なら、渋谷のHMVに通い詰めたことや、アニエスベーのベレー帽やセントジェームスなどのファッションに身を包んだ思い出が走馬灯のように駆け巡るはずです。

会期中には、信藤がデザインしたオリジナルグッズを放出するガレージセールやトークショーも開催される予定。渋谷系を経由して大人になった人も、90年代カルチャーに触れたい人も、いま改めて彼の作品を見ることで、なにか新しい発見があるはずです。

Mr.Children『深海』(トイズファクトリー)1996年

ピチカート・ファイヴ『スウィート・ピチカート・ファイヴ』(TRIAD)1992年

松任谷由実『ALARM à la mode』(ユニバーサルミュージック)1986年

MISIA『Everything』(Ariola Japan)2000年

『ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ』

開催期間:2018年7月14日(土)〜9月17日(月)
開催場所:世田谷文学館
東京都世田谷区南烏山1-10-10
TEL:03-5374-9111
開館時間:10時〜18時 ※入館は17時30分まで
休館日:月 ※9月7日は開館
入場料:一般¥800(税込)
www.setabun.or.jp

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