最前線の雑誌バイヤーが立ち上げた、熱量あふれるオンラインマガジンストア。“ここでしか買えない”が集結!

  • 写真:安達紗希子
  • 文:藤村はるな

Share:

2018年12月にオープンした「Magazine isn`t dead.」は、主宰の高山さんが吟味した国内外の雑誌を販売するオンラインマガジンストア。なお、3月3日には、松陰神社前の古本屋 nostos books軒先にて12時~17時までポップアップストアも展開予定(雨天中止)。ぜひリアル書店にも足を運んでみたい。

「雑誌は、死なない」。そんな挑戦的なネーミングを掲げ、2018年12月にオープンしたウェブサイト「Magazine isn’t dead.」。このサイトは、都内の大手書店で雑誌担当として働いてきた高山かおりさんが選んだ、国内外の雑誌に特化したオンラインストアです。

「Magazine isn’t dead.」の特長は、つくり手のこだわりがほとばしる雑誌のみを厳選している点です。たとえば、日本が生んだ印刷技法であるリソグラフプリントにこだわったイギリス発の『COUNTERPOINT』。「FLIGHT」をテーマにした号では、イギリス国内最後の花火製造工場から、その歴史を考察する記事を掲載しています。ジャーナリズムの姿勢にもとづく堅めの文章と、リソグラフプリントの擦れや温かみを活かしたイラストを隣り合わせに配置するコントラストの強い誌面構成で、毎号250部のみ刷られるこの雑誌をはじめ、「日本で取り扱いがあるのはここだけ」という雑誌も少なくありません。

サイトのもうひとつの見どころに、高山さんが自ら筆を取る紹介文があります。フードカルチャーマガジン『RiCE』に対しては、「ファッションやアート、デザイン、時には食糧問題までをも軽やかに横断しながら食文化を発信する唯一無二の存在」と紹介。具体的かつ熱量を込めて綴られる紹介文は、納得のいくものが書けないとその雑誌をアップできないと語るほど。なぜその雑誌を選び、どこに注目しているのか。独自の視点から語られる数々のレビューは、雑誌への深い愛情が垣間見られる、“ラブレター”そのものです。

なお、すべての商品は、国内外を問わずつくり手と直接やりとりをして仕入れているそう。彼らとの情報交換を頻繁に行うことで、新たな雑誌発掘にも余念がありません。それも、長年雑誌に関わり培ったネットワークがなせる業なのです。
「世界にはこうした素敵な雑誌がたくさんあることを、もっと多くの人に知ってもらって、手に取ってもらいたい」と高山さん。
真の雑誌好きが選んだ雑誌を通じて、知らなかった世界や価値観に、きっと出合えるはずです。

高山かおり(たかやま・かおり)●「Magazine isn't dead. 」主宰、ライター。北海道生まれ。都内書店で雑誌担当を6年務めた後、独立。4歳からの雑誌好きで、国内外の雑誌やZINE、フリーペーパーなどのあらゆる紙ものをディグるのがライフワーク。主な連載に、WWD JAPAN .com「雑誌と本を行ったり来たり」、リトルプレス『北海道と京都とその界隈』内のエッセイ「偏愛北海道」など。

「Magazine isn't dead.」というサイト名の由来にもなったのが、印刷やデザインシーンをテーマとしたロンドン発の雑誌『PRINT ISN’T DEAD.』(右)¥1,620(税込)。制作時に使用したインクや印刷方法、使用したプリンターなどへの詳細も特集記事にするなど、高山さんが新たな雑誌の可能性を感じるほど衝撃を受けた一冊。この雑誌自体は休刊しているが、そのつくり手たちは現在『Posterzine』(左)¥1,188(税込)という新たなリトルプレスを発行しています。

左から、編集者の川島拓人が手がけた『PARTNERS』¥1,620(税込)、写真家の泊昭雄が撮り下ろしたサンフランシスコからサンディエゴまでのロードトリップを写真と言葉で綴った『BEACH』¥2,700(税込)、東京発のインディペンデントマガジン『TOO MUCH Magazine』¥2,500(税込)

『EYESCREAM』元編集長の稲田浩が創刊した『RiCE』¥1,728(税込)。「食をテーマとした雑誌は多いですが、『RiCE』は従来の食雑誌とは異なります。まさに唯一無二の存在」と高山さん。

Magazine isn't dead.
http://magazineisntdead.com