ワム!の名曲が全編を彩る『ラスト・クリスマス』は、ホリ...
文:細谷美香

Profile : 映画ライター。コメディや青春映画から日々の生きるエネルギーをもらっている。クセが強くて愛嬌がある俳優に惹かれる傾向あり。偏愛する俳優はニコラス・ケイジです。

ワム!の名曲が全編を彩る『ラスト・クリスマス』は、ホリデームービーの定番入り間違いなし。

監督はリブート版『ゴーストバスターズ』などで知られるポール・フェイグ。© Universal Pictures

『ダイ・ハード』から『ホーム・アローン』、『ホリデイ』などクのクリスマスムービーの定番に新しく仲間入りしそうな映画『ラスト・クリスマス』が公開中です。おなじみのワム!のクリスマスソングにインスパイアされて生まれたこの物語の舞台は、ロンドン。クリスマスのグッズを扱うショップで働くケイトは、過保護で口うるさい母がいる家には帰らず、友人やバーで出会った男性の家を転々としながら暮らしていました。歌手への夢も諦め気味で心ここにあらず、ガサツなところもあるケイトの前に、ひとりで鳥を見上げていた、どこか浮世離れした好青年が現れます。ホームレスのシェルターでボランティアをしているという彼と時間を過ごすうち、心の奥底にしまっていたある思いを打ち明けるケイト。けれども彼には秘密があって……。

あと一歩を踏み出せず、その場限りの生き方をしていた女の子の恋と成長物語を彩るのは、『ラスト・クリスマス』をはじめワム!とジョージ・マイケルの楽曲たち。ケイトの周りで起こる不思議な出来事が信じられるのは、心浮き立つマジカルな楽曲の魅力があればこそ! 極上のラブコメとしても音楽映画としても、最後までぎっしりと楽しさがつまった作品になっています。

それだけではなく、母親役も演じたエマ・トンプソンが手がけた脚本には、現代的な要素が織り込まれているのもポイント。ケイトは子どもの頃に旧ユーゴスラビアからイギリスに逃れてきた過去を持っていて、ホームレスや同性愛者への社会の不寛容さについての描写もあります。よく動く眉毛が愛らしい、ドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』で人気を集めたエミリア・クラーク。お茶目なシーンがありつつもやっぱり凛々しいミシェル・ヨー、清潔感あふれるヘンリー・ゴールディングと、キャスティングもパーフェクト。涙と笑いがまぶされたちょっとほろ苦い物語の先に、人の善き側面を信じたくなるハッピーなエンディングが待っています。

オリジナル・サウンドトラックにはジョージ・マイケルの未発表曲も収録。© Universal Pictures

ヒロインは『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』でキーラを演じたエミリア・クラーク。© Universal Pictures


『ラスト・クリスマス』

監督/ポール・フェイグ
出演/エミリア・クラーク、ヘンリー・ゴールディングほか
2019年 映画 1時間43分 
TOHOシネマズ シャンテほかにて公開中。
https://lastchristmas-movie.jp

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